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末吉日記

マンガとアニメのレビューとプリズムの煌めき

アイカツ!62話 いちごのデザイナーとしての風沢そらと天羽あすか

風沢そら アニメ アイカツ! AdventCalendar

いちそらアドベントカレンダー2日目の記事です。

www.adventar.org

今日はアイカツ!62話「アイドルはサンタクロース!」の話をしようと思うんですけど、私は以前にも62話について記事をひとつ書いています。

 

suekichi.hatenablog.jp

今日のはこれとはちょっと違う角度から62話を捉えたものです。

 

今回重視するのは、タイトルにもなっていますが、風沢そらと天羽あすかを対比する視点です。

62話で描かれるデザイナーとしての風沢そらとアイドル・星宮いちごの関係は、32話「いちごパニック」における天羽あすかと星宮いちごの関係を踏襲するものとなっています。詳しくみていきましょう。

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62話で、巨大ケーキの概要を知って夢がかなったと喜ぶいちごと、それを喜ぶそらのやりとりは次のようなものでした。

「よかった」

「え?」

「私がケーキを大きくしようと思ったのは、ううん、クリスマスパーティーをデザインしようと思ったのは、そういう顔が見たかったから。自分が作った服で、誰かを元気に、ハッピーにできたらいいと思って、私のブランド、ボヘミアンスカイを作った。この世界を楽しく、幸せにするためのものなら、どんなものでもデザインしたい。ドレスもケーキも、パーティも。デザインに境界線、ボーダーなんてない」

 

次に32話の、あすかのエンジェリーベアのプレゼントに対して笑顔でお礼を言ういちごとあすかのやりとりは次のようなものでした。

「良かった。そのお顔が見たかったわ」

「顔?」

「エンジェリーベアはね。最初は自分の子供たちのために作ったの。それが評判になって、親戚、友人、そしてエンジェリーシュガーを愛するみんなのもとへ届けることになった」

「とっても大事なものだって聞きました」

「ええ。数が増えてもそれは変わらない。願いをこめて、ひと針ひと針丁寧に作ってるわ」

「願い?」

「笑顔になってほしいって」

「笑顔」

「あなたを選んだのはね。その願いをきっと間違いなく届けてくれるって思ったから」

 「そういう顔が見たかったから」と「そのお顔が見たかったから」と似通った発言をしていることや、そらの語る「デザインに境界線、ボーダーなんてない」という言葉があすかがテレビで語っていたフレーズであったことを考慮に入れれば、ここでのそらは天羽あすかと深く重ねられているといえます。

32話においてあすかの言う「あなたを選んだ」とは、あすかがいちごをエンジェリーベアのCMに抜擢したことを指しています。いちごの持つみんなに笑顔を届ける力をあすかは信じ、あすかはいちごを選んだのでした。

そんなあすかと62話のそらが重ね合わせられていることを鑑みれば、62話のそらもまたデザイナーとして星宮いちごというアイドルを信念を持って選んでいるということになります。そのそらの意志は、そらがスターライトを巻き込んだ合同パーティーをデザインした理由をいちごの「そういう顔」=笑顔によって説明していることによっても説明し得るものです。そらは自分のデザインといちごのアイドルの力を組み合わせることによって「世界を楽しく、幸せに」することができると信じ、いちごをアイドルとして選び、パーティーを開催したのです。もともとドリアカのみでやるはずだったパーティーを、学校の垣根を越えたものへとデザインしていったそらの思いは、まずいちごへの強い思い入れからスタートしたものだといえるでしょう。

 

また、この32話のあすかの発言には、星宮いちごアイカツに通底するひとつのテーゼが織り込まれています。それは、「誰か一人のために頑張ることが、大勢を喜ばせることに繋がる」ということです。あすかは初め自分の子供のためにエンジェリーベアを作っていたのが、テレビCMを打つまでに拡大し、今やあすかはエンジェリーベアを通じて多くの人々に笑顔を届けています。これこそ前述の一人のためがみんなのためになるというエピソードの類型といえます。

このテーゼを最もあらわに提示してみせたのが22話「アイドルオーラとカレンダーガール」の「マイクのひとつの穴」のメタファーでしょう。この回でいちごは、らいちという個人の悩みに対して真剣に回答することを通じて多くの人を元気づけました。この「一人のため=みんなのため」の定式は、12話のクリスマス回で中山ユナのためにツリーを切ることが大空あかりをはじめ多くの人を元気づけたエピソードや、大スター宮いちごまつりで芸能界を去り行く神崎美月へと歌う『輝きのエチュード』が「みんなが素敵な明日を迎えられるような」ライブの成功を決定づけたりしたことなどにも見られる構造です。

62話のそらのデザインも、このセオリーにそぐうものとなっています。そらはいちごの笑顔のためにパーティーをデザインし、結果としてスターライト・ドリアカ・招待客・テレビの視聴者みんなを喜ばせるパーティーとなったわけですから。あすかのエンジェリーベアとそらのクリスマスパーティーは、こういった面においてもパラレルに描かれていると考えられます。

そらとあすかはどちらも、アイドルのいちごを強く求めているデザイナーである、ということについて、今日はお話させていただきました。今日はここまでです。