大スター宮いちごまつり=実質アイカツ!61話説などにみられるいちそら
この記事はいちそらアドベントカレンダー5日目の記事です。遅刻遅刻…*1
今日は話数単位にこだわらず、アイカツ!のさまざまな場所からいちそら!と思うシーンを抽出して並べてみようと思います。
75話、「アゲイン♪オフタイム」にて、風沢そらが路上で曲芸をしている一ノ瀬かえでの手をとって服飾店へと連れ込み、かえでに服をコーディネートする、というエピソードが描かれます。ここでそらがかえでに着せた服がこちらです。
ところでこの服のシルエットどこかで見たことがありませんか?腰で留められたリボン、まるく膨らんですぼまるスカート……
そう、Angely Sugarのなないろマカロンワンピ!……と似ているといえなくもなくもないのではないでしょうか。なくもなくってよ。
エンジェリーシュガーを着たいちごちゃんをずっと見ていた風沢そらですから、このようなキュートなコーディネートにはある種の納得感がありますが、しかしなぜそらはかえでを見てインスピレーションを湧かせたのでしょうか?
それはかえでがやっていた曲芸に理由があると考えられます。かえでがやっていた曲芸とはサーカスと縁深いものですが、サーカスといえばいちごが渡米中にやった火の輪くぐりが思い出されますよね。
53話。いちご渡米中のサーカスでの火の輪くぐり
かえでもまた、火の輪をくぐるアイドルです。
79話。火のついたトーチの輪をくぐり抜けるかえでとユリカ。このトーチを投げる男性は75話でかえでと共に曲芸をやっていた人
そらはかえでの曲芸から、いちごと相通じる魅力をかえでの中に見いだしたのではないでしょうか。二人を重ねて見たそらが、かえでにいちごみたいなキュートな服を着せた、という婉曲的ないちそらがここに描かれているのかもしれません。
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つづいて、70話「おしゃれ探検隊 クールエンジェルス!」より。
画の説得力が強いのでとくに何も言い添えることはないんですが、そら→いちで割を食う霧矢あおい概念はぷっちぐみベストのコミカライズにもありましたね。過去に書きました。
ぷっちぐみベストのまんが&まんが家カツドウ!はいちそら好きには2億点くらいある最強コミカライズなのでとてもおすすめです。
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劇場版・大スター宮いちごまつりにて、最後に円陣を組んで、いちご、おめでとう!と成功を祝うシーンがありますが、そのシーンにおいて、劇中で重要な小道具であったクリスタルマイクを、それをいちごから受け取ったあかりとともに、風沢そらが掲げていることに注目したいと思います。これは端的にいちそらですが、そこにもうちょっと深い含意を見出してみようと思います。
このクリスタルマイクとは、繋がっていくアイドルの夢の象徴、「SHINING LINE*」の象徴です。それを大空あかりと風沢そらという二人の「そら」が掲げることに、一体どのような意味を見出すことが可能でしょうか。
まず指摘しておきたいのが、大スター宮いちごまつりで描かれるいちごと美月の物語が、61話「キラ・パタ・マジック☆」におけるそらとミミの物語と強い相似をみせている点です。
61話において、そらはミミを見て、ミミに憧れてアクセサリーを作りはじめ、そしてそらがアクセサリーによってミミを勇気づけた結果、マラケシュで立ち止まっていたミミはふたたび旅を始めました。「どうして今はここにいるの?」と問われたミミが「すこし、こわくなったんだ。新しい扉を開くのが」と答えていたことを思い出しておきましょう。
いちごは美月に憧れてアイドルになり、そして大スター宮いちごまつりにおいては「輝きのエチュード」のステージによって美月を勇気づけ、アイドルを辞めようとしていた美月はふたたびアイドルとして活動し始めます。これは61話のそらとミミの物語と同一の構造であり、にくわえて、アイドルを辞めることを決め、いちごのステージを観ようとしなかった自分を、いちごの輝きのエチュードを観たあとの美月はこういって振り返ります。「ここに来るつもりはなかった。新しい時代を目のあたりにするのは、すこし、こわくて」これがミミの台詞とぴったり重なるわけですね。
つまり61話/劇場版においてそらといちごは、悩み、恐れる人に対して、新しい扉を開く/素敵な明日を迎える ための助けを為す役割を持つ存在として重なり合う存在であり、このクリスタルマイクはいちごからあかりへと授けられたものであるとともに、また同時にそらからあかりへと授けられたものである、という解釈が成り立ちます。これがひとつめの解釈です。
もうひとつの解釈として、クリスタルマイクをそらが持つことの意味を重視する解釈も成り立ちます。クリスタルマイクとはマスカレードに憧れた美月、美月に憧れたいちご、いちごに憧れたあかり、と連なってゆくアイドルの系譜の象徴です。とくにここではいちごに憧れたあかりという存在を際立たせる効果を持つ小道具ですから、それをそらも掲げているというのは、そらもまたいちごに憧れてアイドルになった存在であるという可能性を示すものとして解釈できます。
そらがデザイナーとなった理由はミミとの出会いによって説明されているわけですが、一方アイドルになった理由については、学園長からやってみないかと言われたという説明しかありません。デザイナーとしてブランドを立ち上げないかという学園長の誘いにすらその不自由な境遇を想像して顔をしかめてみせたそらが、デザイナーとアイドルとの二足のわらじを履くことの不自由さを考えなかったとは思えません。そらがアイドルになると決めたその胸の内には、アイドルになることへの強い動機があったはずです。その動機が、大空あかりと同様、星宮いちごと結びついているという可能性を、あかりとそらとが掲げるクリスタルマイクに見ることができるのではないでしょうか。
いちごについてそらは62話で「ずっとかわいいなって見てた」と語っていましたが、その関心はいつ頃から抱いていたものなのでしょうか。これについては過去に62話の考察で結論を出しており、あのクリスマスパーティーのデザインを鑑みるに、少なくともいちごの渡米より前であると考えられます。より具体的にいつからそらがいちごのファンだったのかについて思いを巡らせてみますと、本編中に全く描写はありませんが、私は、そらはあかりと同様に、12話で描かれたクリスマスパーティーを観ていちごのファンとなったのではないか、という考えに行き着きました。なぜならあのいちごによる巨木の伐採は、中山ユナという、ある一人のアメリカ帰りの帰国子女のために為されたことであったからです。風沢そらもまた帰国子女であるわけで、もしそらがあの映像を観ていたならば、ユナのために頑張るいちごの姿に強く心動かされたのではないか、と想像できます。紅林珠璃が親と離れて過ごすクリスマスにあの伐採を観てスターライトのクリスマスパーティーに憧れを抱いたのと、ちょうど同じように。
もしそうだとすれば、いちごまつりの終わりにいちごから渡されたマイクをそらとあかりが共に掲げることにより深い意味を見いだすことができますよね。アイドルとしての起源を全く同じくする二人が、一つのマイクを掲げる、というシーンとして捉えることができるわけです。
クリスタルマイクについての二つの解釈をお読み頂きましたがいかがでしょうか。
まあ美月・いちご・あかりの三人の手を繋がせたかったから余ったあかりのマイクを持つ手がそらと繋がれただけでは、とお考えの方もいらっしゃると思います。私も実のところ胸の内の5割くらいはそう思っていますし、とてもとても正当な見方だと思います。そうお考えの方は、このようなわずかな断片からもいちそらを紡ぎ出すことができるのだ、という一種のパフォーマンスとしてお読みいただければと思います。
この記事のいちそら解釈が合わなかった方も、なぜ学園長のアイドルへの誘いに対し、デザイナーになりたかったはずの風沢そらは首を縦に振ったのか、ということについて考えてみるのは面白い試みになると思います。ぜひ考えてみてください。
予定とは違う感じの内容になりましたが、今日はここまでにします。お読みいただきありがとうございました。
17/2/24 一部リライトしました。
*1:カレンダーに沿うよう投稿日時を改竄していますが実投稿日時は12/23 3時半ごろです