末吉日記

マンガとアニメのレビューとプリズムの煌めき

メモ:【われにかへれ】杜野凛世

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まえがき

このテキストはゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(シャニマス)に登場するプロデュースアイドル「【われにかへれ】杜野凛世」の読解メモです。
Dynalistで公開していたのですが、スマホから読み辛かったため、こちらのブログに編集を加えて転載しました。

このテキストで行おうとしているのは、コミュに登場する諸要素について細かく読みほぐしていくことにより、語られた物語の意味をなるべく多く汲み取ろうという営みです。
読解の方向性を探りながら書かれたメモなので、メモ内の記述どうしで不整合な箇所がある場合があります。

このメモには【われにかへれ】を含む杜野凛世のプロデュースアイドルコミュ全般およびGRAD等共通コミュについてのネタバレがあります。ご承知のうえお読みください。

コミュ1:「夏雲だけを覚えてゐる」

各場面ごとのメモ

シーン:凛世とPは撮影に前乗りするため、路線バスでロケ地へ

  • 凛世がバス車内の写真を撮る
  • 「何か撮ったのか」「は、はい……――――いえ……」「……バスを……」
    • 凛世がなにかを隠そうとしているようにもみえる
    • 写真を撮った動機は選択肢以降で明らかになる
    • 無人の車内ではなく、並んで座る二人の姿をこっそりインカメラなんかで撮った可能性もある?
  • 凛世の写真撮影について、Pは凛世が雑誌に提供する『夏の一枚』を撮ろうとしたと考える
    • アイドルとして、仕事の一環で写真を撮ったという解釈
    • Pは凛世の行動が私的なものであっても仕事として行っているものと解釈しがち
    • 凛世にとって、撮ること、撮られることのどちらの「撮影」も仕事となっている
  • 無人のバスもいいけど 窓の外の方が、シャッターチャンスあるからさ」
    • 凛世にとってはPと乗っているバスであるだろうが、「無人のバス」というP
    • 自分を勘定に入れようとしないのは、お土産を遠慮するところと通じる?
  • バスの停車音。真っ白な画面。P「夏雲だ」
    • 雲といえば【凛世花伝】「しゅら -syura-」の「う・き・ぐ・も……?」選択肢
    • そこにあるようでいて手で触れることはできないもの
    • 凛世は手の届かない浮雲を見上げている
    • 凛世にとって浮雲はPと結びつくイメージ
  • 上下に黒い帯のかかった海辺の背景。凛世「夏雲だ――」
    • シャッターチャンス=優れた被写体
    • 凛世が撮影の仕事のため、すなわち被写体となるためにこの場所を訪れたことと関係がある?
    • 上下にかかる黒い帯は写真として撮られた光景を意味する?
    • Pの言葉を反復する凛世の姿は、【水色感情】「R&P」でも見られたもの
    • 「杜野は自慢のアイドルですから」「凛世は自慢のアイドルでございます」
    • 背景が帰りのバスを待つ際の背景と同じであるため、目的地のバス停に到着した演出ととれる

シーン:バス降車後

  • P「観光気分じゃまずいな」凛世は首を横に振って「凛世の……心も…… 同じように……」
  • 「いいか!」「今日だけは特別だ」
    • 仕事を離れ、プライベートな旅行のニュアンスを帯びる
  • 「明日からの撮影、頑張ろうな」
    • ここで凛世が笑う
  • 「あ、それそれ!そのまま……!」凛世の笑顔にシャッターを切るP
  • 「このロケのことか、雑誌の件かわからないけど バスに乗っている間、ぼんやりしてたから」
    • 凛世がぼんやりしていたのは、仕事について考えていたからだと解釈したP
    • Pは雑誌に提供する『夏の一枚』について凛世をサポートしようと写真を撮った?
  • 「これが…… まことで……うつつのことか――――」「このようなところに……プロデューサーさまと……」「これが……まことのことか……どうかと……」
    • 「まこと/うつつ」=「我に返っている」
    • 対となるのは「ゆめ」だろうか
    • 仕事とはいえ、Pと二人での泊りがけの旅行という非日常的体験を凛世は現実と思えないでいる

◆選択肢・左:「実感ないもんな、こんなとこ来たって」

  • 「実感ないもんな、こんなとこ来たって」
    • 文面だけ見ると、Pが以下のどちらを意図して発言したのかわからない(「~って」の意味が不定
    • こんなとこ来た「という」実感がない(about派)
    • こんなとこ来た「としても」実感はない(even派)
    • 後者の場合何についての実感がないのか省略されているということになる
  • 「うつつのようには……思われず……」「せめて……写真にと……」
    • 「うつつのようには思われない」=「夢のよう」だからこそ、夢から覚めても残るものとして写真を撮ろうとした?
    • コミュ3「こもれ 日」にて、買うことを禁じられたPへのお土産と並置されているのが「バスの一枚」なので、旅を終えた後にも残るものとして凛世は写真を撮ろうとしたのではないかと思われる
  • 「じゃあ、いっぱい撮ろうな!」「現実って感じがするまでさ」
    • 写真撮影を通じて現実感を得ようと提案するP
    • 「うつす」と「うつしよ」/「うつつ」が引っ掛けられている可能性?
    • 夢が現実となることには「夢がかなう」と「夢からさめる」の二つのアプローチがある
  • 「やはり……うつつであるとは……とても――――」
    • 二人のずれに気づかず、夢がかなうイメージを抱き続ける凛世

◆選択肢・中央:「よーく見てくれ」

  • 「よーく見てくれ」「ほら、今の写真 ちゃんと写ってるぞ、この場所に」
    • 非日常的な場所に凛世が確かに居ることを示す
    • 凛世がうつつのことか疑うのは、この場所にまだ馴染んでいないだけと解釈した
  • 「よーし、それならもう一枚だ! 今度はでっかく風景を入れよう――――」
    • 「窓の外のシャッターチャンス」と凛世を組み合わせた良い写真を撮ろうとするP
  • 「凛世も……確かめたくて……」「撮ったのです……」「これが……まことである……ということを――――」
    • 写真を撮るとまことであることが確かめられる、というのは一見よくわからない理屈
    • 写真を撮ってみたところで、夢の中で撮った写真が夢の中で見られるのは当然なので、まことであることの証にはならないため
    • 左選択肢で解釈したような、「夢からさめても残るものとして写真を残そうとした」ならわかる
    • その場合「確かめる」というよりは「確かにする」という言葉がふさわしい行動か。エビデンスを残す
  • 「ほら、笑って――――」笑顔になる凛世

◆選択肢・右:「俺も、そうかも」

  • 「俺も、そうかも」「ほんの2、3時間前まで事務所だったんだ それが……」
    • 凛世の台詞には「Pとここにいること」に現実味がないという話だったが、Pの台詞には「凛世と」という視点がない
  • 凛世「はい……」
    • Pとの意識のずれを知ってか知らずかPの同意を受け入れる凛世
    • Pの解釈が自分の意図とずれていても凛世は「はい……」と同意を返しがちな気がする(要調査)
  • P「土産物もあるみたいだぞ――――」
    • 土産物はコミュ3で二人のいさかいの原因となるアイテム
    • この時点ではPが観光気分で浮かれ気味な様子を強調するモチーフとして登場する
  • 「これに乗って……ここへ来た……」「すべて……まことのことで……ありますようにと……」「写真を――――」
  • バス車内の写真(上下に黒幕)「ふふっ……ブレております……」
    • まことかそうでないかの境界がぼやけた状態を示している?
    • 夢うつつな状態
    • ここで人の写らない写真が画面に提示されるので、やはり自分たちではなく無人の車内を撮ったと素直に解釈すべきな気もする

コミュの要点

  • 舞台設定を説明するコミュ
  • 仕事とプライベートとの対立を提示
    • 凛世のコミュでは繰り返し語られてきた要素
      • 【凛世花伝】プライベートの時間で二人で水族館へ行くが、Pに急な仕事が入ってしまう
      • 【十二月短篇】二人で花火を見るが、仕事の終わった凛世と、仕事へ行かなければならないPとで別れてしまう
      • などなど
    • 凛世はPへ私的な慕情を抱いているが、その感情を声にしても、仕事として凛世と向き合うPはいつも聞き逃してしまって伝わらないというのが凛世コミュによく見られる構図
      • 「仕事/プライベート対立軸」と「ちゃんと聞く」問題系の2要素に分解できる
    • カードタイトル「われにかへれ」もこの観点から見ることが促される
      • 「ゆめ」/「うつつ」が「プライベート」/「仕事」と対応している
      • 夢というワードはコミュに出てこないが、うつつでない、まことでない状態というのは夢を指すものだろう
      • ブレた写真=夢と現実の混濁→いずれは現実へ=われにかへる

コミュタイトルについて

「夏雲だけを覚えてゐる」

  • 夏雲はPがシャッターチャンス、優れた被写体と考えるもの
  • 一方凛世は撮影の仕事のため、つまり被写体となるために地方を訪れている
  • 夏雲は凛世と重なり合うような存在?
  • TRUEでは凛世は夏雲を擬人化する(「夏雲も……覚えていて……くれましょうか」)

コミュ2:「むらさき」

各場面ごとのメモ

シーン:海の家、撮影の休憩時間

  • 凛世の心象風景。「あおい」「あかい」
  • 背景、海の家。P「べー」凛世「べー」
    • コミュタイトルが「むらさき」なので、赤と青の舌が混ざり合う官能的なイメージを強く喚起するシーン
  • 再び凛世の心象風景。「あかい」「あおい」
  • 背景、再び海の家。Pと凛世がかき氷を食べて舌を見せあっている
  • 「あかい」背景に切り替わり、凛世のいちご味のかき氷の話をする
  • 「あおい」背景に切り替わり、Pのブルーハワイ味のかき氷の話をする
  • 背景海の家に戻る。「これ、混ざったら紫になるのかな?」「ふふふ……紫の舌は……恐ろしいです……」
    • 冒頭で赤と青の舌からプレイヤーが想像した「むらさき」と一致するワードを凛世が口にすることにより、凛世が自分とPとのロマンスを意識しながらも「恐ろしい」と退けているような含みが生じる
  • 「青でやめておこう」「赤でやめておきます」
  • 「これ、撮っといたらいいんじゃないか?」「それは……はい……」
    • 『夏の一枚』に良いのではないかという提案
    • 凛世は予想していなかったというような表情
    • 『夏の一枚』の撮影は仕事のひとつであり、休憩時間に持ち出されるとは思っていなかったのではないか
    • 仕事とプライベートの混線
  • 「じゃあ凛世の携帯がいいよな もう一回、べーだ」「心得ました……べー……」
  • 「ふふっ……では……その――――」「――……プロデューサーさまも……」「え?」「もう一度……べー……でございます」
  • 背景が「あおい」に切り替わったあと、海の家に戻る

◆選択肢・左:「ありがとな」VoDa

  • 「ありがとな」「でも、俺は写る方の人じゃないからさ」「はは 俺は、写る人を支える方」
    • 被写体となることを嫌がるP
    • 凛世が個人的にPの写真を撮りたがっていることを踏まえた上で断っている?
    • 俺の写真を撮りたがってくれて「ありがとな」?
  • 「凛世の携帯にさ 俺がこんなに遊んでるの、残せないよ」
    • 真面目な姿ならともかく、遊んでいる自分の姿をアイドルの携帯に残すべきではないという判断
    • リスクマネジメント的な、仕事上の判断
  • 背景「あおい」凛世「――――…………」
  • 背景海の家「な? じゃあ仕事するぞー ほら、もう一枚――――」
    • 仕事として撮影
    • 撮影の休憩時間なのに撮影の仕事がはじまっている
    • プライベートな時間に仕事が侵食しているのは、仕事のために来たけど観光気分になっていいとしたコミュ1と対称的
  • 「混ざらないのですね……」シャッター音
    • 「あおい」背景が、Pの司る「仕事上の関係」という側面を象徴している
    • 「あかい」は凛世がPに対して抱く、「私的な情緒」の象徴だろうか
  • 凛世「べー」
    • 「べー」のもつ意味が、舌の色を見せ合う遊びから、凛世の反発心を示す仕草へと変化している
    • 次のコミュでの凛世の拗ねる行動へと繋がる描写

◆選択肢・中央:「俺はいいよ」Vo

  • 「凛世のことを伝えるんだから ――あ、器を撮るのはどうだ?」
    • 凛世が写真を撮るのは凛世のことを伝える『夏の一枚』のためだということを前提とした返答
    • 凛世としては『夏の一枚』は念頭になく、個人的に撮りたかった写真だったので、凛世の返答は、いえ……と一度打ち消そうとしてはい……と流されるものとなっている
  • 「おおー、いい感じじゃないか 赤いシロップ、綺麗だなぁ」
    • 凛世の携帯で凛世が撮ったものを見た感想だと思われる
    • いちご味のかき氷に被写体として優れているという評価を与える
    • コミュ1の夏雲と同じ?
  • 「あ、でも俺の器も写っちゃってるな 使う時は切らないと」
    • 雑誌に載る際に、誰と一緒だったのか、などについて邪推されないようにする仕事上の判断
  • 背景・青。凛世「…………――――」
    • Pが仕事の論理を優先させることを受けた青い心象風景
  • 背景が海の家に戻る。「紫に……」「なぁ、りん――――」「してしまえばよかった……」
    • かき氷を紫にしてしまえば、トリミングされることなく二人の思い出として写真を残すことができたのに、という詠嘆か
  • 「はい…… 綺麗な……赤でございます……」
    • ここでの「綺麗な」には、混じりけのない、紫とは程遠いという皮肉めいたニュアンスが漂っている
    • 被写体として優れた仕事をこなすいちごのかき氷に対する皮肉は、そのまま撮影の仕事をこなす凛世自身に対する自嘲として機能する
    • 自分がただ撮られるだけの存在、仕事でしか求められない存在でしかないことに対するフラストレーションがにじむ表現

◆選択肢・右:「ダメダメ」Da

  • 「俺なんか撮っても いいことないぞ?」「い、いえ…… 青いべー……赤いべー…………」「ふたつともに…… 今日の……思い出…………」
    • 凛世が、雑誌に提供するためではなく思い出として残しておきたいという撮影の意図をPへ正確に伝えられたパターン
  • 「ありがとな、そんなふうに言ってくれて じゃあ俺の携帯でお願いしようかな」
    • 「ありがとな」選択肢と似たような判断
  • 「いえ…… 凛世の――――」「――ほら、このボタンでカメラが起動するから」
    • Pが凛世の発言を遮ろうとしているようにも見える
  • 青い舌を撮影
  • 背景・青「ふふっ…… 青い……」「ははっ、うーん…… アイドルの写真と比べられるのはきついなぁ」
  • 「こんな写真、入れとくもんじゃないぞ?」「プロデューサーさま……?」「な」
    • 凛世の目の前で携帯から消去した?
    • 凛世が「今日の思い出」を残したいと言っているにもかかわらず消し去るP、人の心がない

コミュの要点

  • 凛世とPの対立が赤/青という色によって示される
  • メモ帳を使ってプロデュースすると、選択肢画面で左から「VoDa」「Vo」「Da」のアイコンが表示され、赤と青と混ざり合う紫というイメージに閉じていて美しい
    • 初見でメモ帳使った人の何割が左を選んだか気になる
    • アイコンの色とコミュの内容にはあまり関係がないように思われる
  • 舌、混ざり合う、といった官能的なイメージが用いられるのが特徴的
  • ままならない現状に反発する心持ちが凛世の中に育ってきていることが示される

コミュ3:「こもれ 日」

各場面ごとのメモ

シーン:宿の凛世の部屋。Pと凛世。凛世は眠っている

  • P「ごめんな――――」

シーン:回想。土産物屋

  • 風鈴の音
  • 凛世は放クラと寮のメンバーに加え、Pにもお土産を買おうとしていた
  • 「はは、俺はいいよ ここに来れてるし」「そのぶん、誰かに渡してあげてくれ」
    • お土産を用意する人数が多いのを気にしている?
    • TRUEのお土産宅配はここと繋がる描写かも(たくさん買ったので宅配)
      • たくさん買ったので宅配にした?
  • 「いや、もったいないよ そんなのいいから――――」
  • 背景、セピア色の海の家。コミュ2の回想。凛世「――――」
  • 「よく……ありません……」駆け出す凛世

シーン:回想続き。凛世の部屋とその前の廊下

  • 部屋にこもった凛世に廊下からPが呼びかける
  • 「何か気分を悪くしてたら――――」「わ……悪くしては……おりません…………」
    • 気を悪くしてその場を去ったのだから、ここで凛世は嘘を言っている
  • 海の家、土産物屋(セピア色)の背景「……写真も……だめ…… 土産ものも……だめ……」「凛世には…… バスの……一枚だけ――――」
    • ブレてしまったバスでの写真一枚しか二人の思い出を残したものがない
    • Pへ土産物を渡すのも、二人の思い出としてPに持ち帰らせたかったものと考えられる
    • あるいはPとお揃いのものを自分にも買うつもりだったか

シーン:回想続き。温泉に入るP。夕景

  • 凛世が気を悪くしたのは土産物屋で無神経なことを言ったからだと反省する

シーン:回想続き。凛世の部屋とその前の廊下。夕景

  • 廊下から部屋の凛世へ呼びかけるが返事がなく、部屋へと入るP
    • 部屋に入ってまで確認するのはやりすぎ感もあるが、凛世が【杜野凛世の印象派】「drawing2(まどひあか)」で急にどこかへ行ったり、GRAD「いたかった」で携帯の電源を切って海へ行ってしまったことがあることを思うと心配して部屋に入りこむのもやむなしかもしれない
  • 「こんなところで……――――」
    • こんなところとはどこか?
    • https://omotenashi.work/column/bits_of_knowledge/8316
    • 踏込や前室といった、入り口付近?
      • Pがまた声をかけるのを待っていたニュアンス
      • GRAD「いたかった」で携帯の電源を一度は切ったけど海辺で再投入していたこととこじつけると、Pが再び現れるのを戸の向こうで待ち続けていたという読みがあり得るかもしれない
    • 広縁の椅子とか?
      • 奥まった位置に閉じこもったニュアンス
      • 椅子で寝てる人に「こんなところ」とは言わない気もする
      • 木漏れ日が差しこみそうな場所ではある
  • 「凛世…… はは、よく寝てる……」「………… ごめんな――――」
    • コミュ冒頭と繋がる

◆選択肢・左:「起きたら話そう」

  • 「話そう」とは言ったものの、凛世が話してくれていたことに思い至り反省するP
  • 「もう一回、答えさせてくれ」

◆選択肢・中央:「…… まんじゅうがいいよ」

  • 「…… まんじゅうがいいよ」
    • 凛世は形として残るものをお土産にしたいだろうに食べ物を所望するP、人の心がないよ
  • 「ありがとな…… 俺、ありがとうって言うべきだった」
    • 「ありがとな」がコミュ2の左選択肢の返答だったことと、その後の展開を思うと若干の引っ掛かりを感じる向きもあるかもしれない
  • 「――仕事に来てるだけじゃ ないんだよな」「凛世の夏を…… 預かってるんだから」
    • コミュ2で休憩時間にも仕事仕事でごり押しだったことを踏まえると、ここはツボを押さえた反省をしている
  • 「おやすみ…… 起きたら、言わせてくれ」「ありがとうって」

◆選択肢・右:「難しいな」

  • 「謝ったって…… 言ってしまったことは消せない」「俺に買ってくれるって言ったのにな …………『そんなの』なんて」
    • 凛世の気持ちを踏みにじってしまったことに気づき悔いるP
  • ただ遠慮したつもりだったP
    • ここはPの独白なので、裏では実はこう思っているとかそういう可能性を読まなくていい部分
    • Pは凛世の気持ちをわかってて袖にしているとかではなく、単純に仕事人間っぽいことがわかる
  • 「もう一度聞いてくれるなら 今度は言うよ」「嬉しかったって――」

コミュの要点

  • コミュ2で予感させた凛世の反発心が爆発するコミュ
  • 拗ねるという行動を取ったのは、GRADで欲、「もっとわがままになっていい」という回路を得たからか
  • PはPで自分の悪さに気づけていてえらい
  • このカードが、Pが凛世の声をちゃんと聞けるかどうかという、凛世のコミュで繰り返し語られてきた問題系を引き受けるカードであることがここで明確となる
    • 【微熱風鈴】で凛世の言葉を聞き逃す(「みをつくし」の流木選択肢)
    • 【凛世花伝】「だから、頼むよ 俺にも、できるだけ凛世の言葉を聞かせてくれ」(「しゅら -syura-」の「……?」選択肢)
    • 【水色感情】「――凛世のこと、わかってるような気がしてたよ でも……」「気がする、じゃダメなんだ」「わかるまで聴こうか」「プロデューサーさまが……」「聴いていてくださる……限り……」(「R&P」)
    • GRAD「聞こえて……おりましょうか……?」「ちゃんと、耳を澄ませられる 自分でありたいって思うよ」(「he」)
    • などなど

コミュタイトルについて

「こもれ 日」

  • 木漏れ日と、籠もれ/隠れ(こもれ)がかかっている?
    • 日が隠れるといえば天岩戸に天照が隠れたことが連想される
      • Pも廊下で裸踊りを披露すべきだった説
    • 木漏れ日はとくにコミュ中で登場していない要素であり、解釈を与えたいワードではある
      • 木や葉、太陽、影、あたりから連想できるエピソードが他のカードのコミュにあってゆるやかに繋がっている?
      • 次の「月があたらしい」と合わせて、太陽と月が二人の象徴となっている?

コミュ4:「月があたらしい」

各場面ごとのメモ

シーン:【過去A】Pの回想。コミュ3のあと、凛世が目覚めてからの時間。宿。

  • 「――約束しよう、凛世 『なんでも言う』『言うか迷ったら言う』」
    • それが言えたら苦労しねえんだわ

シーン:【現在・夕】撮影終了後の夕方。山のなか。林。

  • 撮影終了をスタッフから労われる凛世。Pはタオルを凛世に渡す
  • Pのモノローグ。「いつだったか もっとわがままになってほしいって、言ったよな」
    • GRAD「いたかった」参照

シーン:【過去A】

  • 「俺も聞くよ 『なんでも聞く』『聞くか迷ったら聞く』」
  • 凛世、謝りながら「はい……そのように……」
  • P「ああ。いや……! 謝ってるのは俺なんだ」

シーン:【現在・夕】

  • P「他に欲しいものとか、ないか?」
    • この「欲しいもの」は、GRAD「いたかった」への参照直後に出てくるため、GRADにおける「欲」の文脈で読み手に響く
    • 凛世の声を聞こうと『なんでも聞く』を愚直にやっているP

シーン:【過去A】

  • 「……その ごめんな」「い、いえ……! 申し訳ございません……」
    • 謝ってるのは俺、という体裁を取ろうとしたが重ねて凛世に謝られてしまうP
    • コミュニケーションがうまくいっていない感触がある

シーン:【現在・夕】

  • Pのモノローグ「……そんな簡単なわけないよな これまでの習慣や関係を、変えるなんてこと」
    • 欲しいものを聞いたが、凛世は欲しいものがあったとしてもそれを言わないだろうという、経験からくる直感があったのだと考えられる
  • 「……いえ…… 特には……何も……」「そっか うん」
    • Pの予想通り。
  • 「……ごめんな」「……っ 凛世こそ……申し訳ございません……」
    • 回想時と同じ謝罪の応酬
    • ここでのPのごめんなは、習慣の変更という簡単ではないことを凛世に強いていることへの謝罪と思われる
  • Pのモノローグ「…… でも――――」
    • 凛世に負担をかけていることはわかりつつも、より凛世の声を聞こうと、関係の変化を望むP
    • この「でも」は、「お土産を一緒に買いに行くことが決まり凛世に笑顔が戻ってほっとした。でも自分が本当に聞き逃したことってお土産のことだけだったのかな」と連なる一連のモノローグの「でも」の部分でもある
  • 凛世は「欲しいもの」として、近くの沼地の蛍を見に行きたいと希望し、Pはそれをよろこんで了承
  • Pのモノローグ「……それだけだったのかな」
    • 凛世が欲しいものを言ったこと自体は嬉しく受け入れるものの、口にしたこと以外にも欲しいものがあったのではないかと感づくP
  • 凛世、笑顔になる

シーン:【現在・夜】時間が進む。山の中、鈴虫が鳴いている

  • Pと凛世、無言で歩く

シーン:【過去A】

  • Pは凛世が買うと言ってくれた土産ものの申し出について、改めて「ありがとな」と感謝の言葉を述べ、翌日の撮影の後に一緒に買いに行く約束をする
    • 中央選択肢ノルマ達成

シーン:【現在・夜】

  • P「……なぁ、凛世」

シーン:【過去A】

  • P「そうか、行ってくれるか よかった……!」
    • お土産の話

シーン:【現在・夜】

  • Pのモノローグ「笑顔が戻ったのを見て、あの時はほっとしたよ でも……」
    • 「あの時」とは、土産物の約束を改めて取り付けたとき(直前の回想)

シーン:【過去B】回想。コミュ3で凛世が宿の部屋にこもったシーン

  • 「………… ほ、放っておいて……くださいませ――――――」

シーン:【現在・夜】

  • Pのモノローグ「……それだけだったのかな 俺が聞き逃したこと」
  • 凛世「…… はい……?」
    • P、モノローグが口に出ていた?
  • 凛世、蛍の沼に気づき、Pの制止を聞かず沼へ入る
  • Pのモノローグ「……難しいな、凛世 誰かの心を知るって」
  • Pのモノローグ「―― なかなか聞こえるようには、ならないもんなんだな」
    • 「ちゃんと聞く」の問題系

アニメーション
シーン【現在・夜】

  • 【水色感情】のレコード再生時っぽいBGM
    • どぅ、どぅと凛世の胸は鳴っていたのかもしれない
  • 「――――しい……」
    • 「こいしい」or「いとしい」説
    • 蛍は求愛のため光るのであるが、のちの会話では蛍が何と言っているのか聞こえるかどうかが話題の中核となることから、求愛に関する言葉だと考えられるのではないか
    • Pが聞き逃しがちなことといえば、凛世がPへと抱く恋のニュアンスを含んだ言葉なので、ここでまたPが「聞き逃している」ことから、凛世はここで恋愛にまつわる言葉を発していると察せられる
  • 「光って……消えて……」「なんと……言っているのでしょう…… 蛍は……」
    • 擬人的な表現
    • 蛍同士のコミュニケーションに興味があるわけではなさそう
    • 和歌においてしばしば身を焦がす恋心の象徴として用いられる蛍を通じて、Pを恋い慕う自分の心の声が聴き取られることを願ったのではないか
    • ガチャ登場時演出台詞「呼び交わすように……瞬き……瞬いては……すれ違う……」
  • 「……聞こえたらいいんだけどな」「はい…… 聞こえたら……良いのですが……」
    • 聞こえたらいいんだけどな、じゃあないんだよ聞こえたらいいんだけどなじゃあ
    • 凛世は自分の恋心をただ伏せるのではなくて、きわめて婉曲的だけど蛍を介して「言って」るんだからPはちゃんと聞いてあげて!!!!!!!!!!!!!

コミュの要点

  • 時間が行き来し、そこにPのモノローグが度々挿入される語り口の複雑なコミュ
  • ノローグだけをつなげて読んでも読めなくはないが違和感がある文になる
    • 「いつだったか もっとわがままになってほしいって、言ったよな」「……そんな簡単なわけないよな これまでの習慣や関係を、変えるなんてこと」「…… でも――――」「……それだけだったのかな」「笑顔が戻ったのを見て、あの時はほっとしたよ でも……」「……それだけだったのかな 俺が聞き逃したこと」「……難しいな、凛世 誰かの心を知るって」「―― なかなか聞こえるようには、ならないもんなんだな」
    • Pが回想なり現在の状況なりに逐一モノローグでコメントをつけていると読むのが適切か
  • GRADへの参照
    • 欲を出すこと、わがままになることについて
    • Pが凛世を聞こうと努力すること
  • 蛍を介してPへ語りかける凛世
    • 【微熱風鈴】の桔梗アピールと通じるところのある表現

コミュタイトルについて

「月があたらしい」

  • 「あたらしい」がひらかれているので、掛詞かなという印象
    • 新しい/可惜しい
      • 月が新しい→新月、暗い夜→蛍を見るのにふさわしい夜
      • 月が可惜しい→月が惜しい夜→月のために蛍の光が目立たない夜
    • という対比かと思ったけど「可惜し」ってもったいないというニュアンスがあるっぽいので、こういう「惜しい」に使えないかもしれない
    • 調べたら蛍は月の明るい夜には光らないそうなので、普通に新月でしたというだけの意味で掛詞じゃないのかもしれない
  • 月といえば
    • WING決勝敗北コミュ「漕ぎいでな」の元ネタである和歌は月にまつわる和歌
      • 「熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな」
      • 航海するために月が出るのを待っていたら潮目も良くなってきたので今こそ漕ぎ出そう、という歌
    • WING決勝勝利の「世界」で引用される歌にも月が出てくる
      • 「天の海に雲の波立ち月の船 星の林に漕ぎ隠る見ゆ」
    • 【凛世花伝】Trueで引用される与謝野晶子の歌にも月が出てくる
      • 「なにとなく君に待たるるここちして出でし花野に夕月夜かな」
      • Pは「月が待ってくれてる」歌と解釈
      • 「君」=「月」という独自色の強い読み方
      • 凛世は「なんとなく貴方が待ってくれているような気がして、たまらずに飛び出してみると花野に月が照っていた」という一般的な解釈
      • 凛世「片恋にも見える相聞の歌」
      • 相聞とは消息を伝え合うこと。自らの恋心を知らせる歌
      • 詠み人の心を他人事と思えない凛世
      • 晶子は妻子ある与謝野鉄幹に恋をしていた
      • 道ならぬ恋をする者として共感?
      • 凛世が口にした恋の歌(恋しくて会いたいけど会えない)の意図を汲めていなかったP(居そうと思ったら居た)
      • これもPが凛世の言葉を「ちゃんと聞けてない」問題のひとつか
    • 【水色感情】「B2.人の気も知らないで(Inst)」の蝶を逃がす空には満月が輝いていた
      • 「蝶は月を頼りに飛ぶ」「凛世も同じような心持ち」「プロデューサーのお導きがあればこそ」(「――驚いてるかな、 この蝶」選択肢)
      • ここでは凛世にとって月はPの存在と結びついている
    • 月のモチーフなんてのはいろんなコミュで何度も擦られてるので、特定のコミュの文脈を引用したりとかじゃなさそうという予感はする
      • けど敢えて言うなら【水色感情】の「B2.人の気も知らないで(Inst)」とのつながりを感じたいところ
      • 理由
        • 凛世が虫に自らの想いを仮託するコミュであるため
        • 「月があたらしい」は「恋はみずいろ」を意味するBGMがかかるコミュだが、この「B2.人の気も~」コミュにも同じBGMが響いているため
      • 解釈
        • Pという月が凛世の導く光をもたない新月であるときに、逆に凛世が蛍の光として照らし返すイメージ
        • 「B2.人の気も~」で、凛世がPという月を頼りに飛んでいると言ったことに対して、Pが「俺は時々、逆みたいに感じる時があるから」と漏らす構図を見だせる

TRUE:「われにかへる」

各場面ごとのメモ

シーン:宿の凛世の部屋。日中。

  • 宿の部屋の写真を撮る凛世
  • 部屋に「さようなら……」
    • 擬人化シリーズ

シーン:バス停

  • バスの予定時刻まであと10分
  • 忘れ物を確認
    • 土産の袋の話でふたりとも笑う
  • 風鈴の音
    • バス待ちと風鈴といえば【微熱風鈴】
    • 微熱風鈴のコミュ内容を参照している?
    • 微熱風鈴コミュ内容については記事末尾に付録の「【微熱風鈴】コミュについてのメモ」に詳細を記載
    • 【われにかへれ】に【微熱風鈴】がどう響いているか
      • 帰りのバスを待ちながら、一緒に居られる時間が残り少ないことを惜しむ凛世の姿が重ねられている
      • 【われにかへれ】でやっと少しずつ変わり始めたPと凛世の関係性が、【微熱風鈴】で語られた、長い時間をかけてゆっくりと変化する風鈴のガラスのイメージと重ねられている
      • 「とことはに」で風鈴の音はPの眠り/目覚めと連動するように鳴っていたことから、凛世に目覚めよと促すように風鈴が鳴っている
  • 時間を大事に過ごしたいが、大事に過ごすにはどうすればいいか考えることに時間を消費してしまう凛世
  • 「――よし、じゃあ 考えるのはやめだ!」
  • 「見よう、凛世 時間いっぱい」「な? いつでも思い出せるようにさ ――――ほら、宿の屋根が見えてる!」
    • 見ることによって思い出を作ろうとするP
    • 凛世は写真で思い出を残そうとしていた
    • 思い出の作り方の作法が二人で異なっていたのではないか
    • そういえば「月があたらしい」では、『夏の一枚』にふさわしそうな光景があったにもかかわらず、Pは一枚も写真を撮っていなかった
    • Pは仕事以外では写真を撮らないたち?
  • 「覚えて……帰ります…… たくさんのこと……」
  • バスが近づく
  • 凛世はバス停に戻ろうとして、振り返って夏雲の写真を撮る
    • ここ足音だけで表現されてるの上手い
  • 「―――― 夏雲も……」「覚えていて……くれましょうか……」「この時のこと……」
    • 夏雲を擬人化している?
    • 擬人化といえば【凛世花伝】の「こひめ -kohime-」での「桜………… 桜……」「凛世を…… 慰めて……くれるのですか……」
    • Pを誘えなかったことを悔いてひとりで社の桜を見る凛世が、ひときわ華やかに花びらを散らせた桜を見て言った台詞
    • 華やかに散らせたとは記されていないが、凛世の頭に桜の花びらが乗っていたこと、Pの「もう散り始めるのもいるんだな」という台詞からさかのぼって情景が想像できるように書かれていると解釈している
    • 凛世は擬人的な言い回しをしがちな傾向がありそう(要調査)
    • 「未来の自分は、夏雲の写真を見てこの旅のことをちゃんと思い出せるだろうか」という意味に取れなくもない?
    • 自分が夏雲を介して思い出すことを、「夏雲が覚えている」と表現しているという解釈
    • 「夏雲だけを覚えてゐる」と対となるような台詞
    • 夏雲だけを覚えていても、夏雲がこの旅のことを全部覚えていてくれたらそれで大丈夫、ということだろうか
  • バスの発車音
  • 暗転。風鈴の音
  • コミュの要点
    • 旅の終わりを描くコミュ
    • 旅の終わり=われにかへる
    • 「撮る」ことから「見る」ことへの変化
      • 思い出を見ることによって残そうとするP
      • 撮って残そうとする凛世
    • 風鈴の音が終わりの合図となっている
      • 【微熱風鈴】への参照

総合的なメモ

雑感

  • これまでの凛世のコミュの集大成的な内容と感じた
  • 凛世のコミュに「Pが凛世を聞くこと」に関する問題系が連綿と書かれてきていたことに、このカードを通じて気付かされた
  • GRADを踏まえ、凛世が自身の「欲」を自覚的に出すようになってゆく変化が描かれている点に満足感があった
  • そういえば凛世のプロデュースアイドルのコミュって撮影の仕事が多い気がするけど他のアイドルってどうだったかな
  • 「むらさき」の舌や、「月があたらしい」の蛍を用いた慕情の示し方はかなり官能的で、今まで見たコミュの中で一番エロスを感じるカードだった
  • ところどころ腑に落ちきらない、このシーンにはどういう意味があったのだろう……と思い続けてしまうところもあり、読み終えてすっきりするというコミュではなかったが、ところどころの技巧に冴えわたるところがあり、気持ちよく感情を揺さぶられる美しい作品だった

疑問がのこっている箇所

  • 「こもれ 日」というコミュ名の意味
  • 凛世が夏雲に対してどのような観念を抱いているのか、もうすこし深く知りたい

今後の課題

  • 凛世の擬人的な表現がよくやるものなのかどうか検討したい
  • 凛世のコミュが「夢/うつつ」という対称軸に関して連続するテーマを持っている可能性を検討したい
  • 凛世に限った話じゃないけれども、カードコミュの解釈を進めていくときに参照すべき資料の範囲、いわゆる「聖典」をどこまでにするかというのは考えていかなくてはいけないかなと思っている
  • 個人的な感覚だと、CDのドラマパート、リアルライブの朗読劇、こないだのサマーキャンペーンのページに書かれていたキャラクターの台詞とかのあたりがぎりぎり入らないように境界線を引くことになりそうかなと思っている
    • 今回はイベントコミュやサポートのコミュを参照していないのでそれ以前の話

あとがき

  • ブログに書くためのメモとしてあれこれ書き出してみたんですが、どうまとめたものかと思ううちに塩漬けになりそうだったので、ひとまずメモのまま公開してみることとしました。
  • この解釈わかる~とか、いやその解釈はこうじゃないか、などなど意見感想コメントなどお気軽にお送りください。匿名でも送れます
  • https://odaibako.net/u/suekichi

付録 【微熱風鈴】コミュについてのメモ

コミュ1「とことはに」

  • 風鈴の音で目覚めるP
  • 凛世が欲しがった風鈴をPが買い事務所へとりつけている
  • 凛世がガラスが実は液体で流れ続けている、という話をする
  • ゆっくりと流れるガラスを二人で見ていようとなる
  • ガラスとは違い、変わらぬものもある
  • 凛世の「久遠の愛」、桔梗の花言葉
  • 風鈴の音を聴きながら眠りにつくP
  • 回想。風鈴購入時、所望した風鈴の柄が桔梗であることをそれとなくPへアピールしていた凛世

コミュ2「みをつくし」

  • ロケで砂浜を訪れたPと凛世
  • 車に乗り込んだあと、忘れ物を確認
  • 海を見る凛世を見て、海が気になってると解釈するP
    • TRUE「出来心」を踏まえると、仕事を終えてPと離れることについての思いがあったと察せられる
  • 砂浜へ出て裸足で歩く

◆選択肢・左(流木)

  • 砂浜に流木で描く
  • P、「283」「社長の似顔絵」を描く
  • 凛世、「相合い傘」を描く
    • Pは仕事、凛世は自身の恋愛を描いている
  • 波で足元を濡らしてしまう凛世
    • タイトル「みをつくし」と掛詞となる「澪標」は水場に立てられる標識
    • 水に浸かった凛世が澪標のイメージと重ねられている
  • 「このように……お隣を……歩けるのですから……」
    • 波の音で聞こえなかったP
    • ちゃんと聞けてない問題

◆選択肢・中央(ビーチグラス

  • ガラスが時間をかけて変化したもの
  • Pは凛世にビーチグラスを持って帰るよう促す
  • お土産として喜んで受け取る凛世

◆選択肢・右(タコノマクラ

  • Pが投げると海面で跳ねながら飛ぶ
  • 4回跳ねたら……と願掛けをしようとするP
  • Pは『帰り道が混雑しませんように』
  • 凛世は4回跳ねたら告白すると決める
  • P「願掛けとは違うんだな」
  • 3度しか跳ねない
  • 帰り道が混むことを気にするP
  • 「凛世はかまいません」
  • 長く一緒に居られることを歓迎?
  • 「誰かに何か伝え損ねることになっちゃうんじゃないか?」
  • 「まだ、よいのです」

TRUE「出来心」

  • 山の中での仕事帰りにバスを待つ2人
  • 凛世が気持ちよさそうに寝ていたので起こさずバスを1本見送るP
  • 凛世が起きたあと、次はPが眠ってしまう
  • 次の最終バスを見送り、ずっとこのままで居たいと考える凛世
  • 凛世は葛藤の後、Pを起こす
  • 私欲のためにPを起こさないでおこうという「出来心」

アイドルマスター シャイニーカラーズ イラストレーション ワークス VOL.1

アイドルマスター シャイニーカラーズ イラストレーション ワークス VOL.1

  • 発売日: 2020/10/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

デカルコマニーとしての『リズと青い鳥』と『響け!ユーフォニアム2』(1)

リズと青い鳥』は『響け!ユーフォニアム2』に続く物語である。また、『リズと青い鳥』は「写し取ること」を繰り返し描いた物語である。そして、『リズと青い鳥』は『響け!ユーフォニアム2』を写し取った物語である。

 

「リズ」冒頭で、ありがとう?と疑問形で述べる鎧塚みぞれに対し、傘木希美はどういたしましてとスカートの端を摘み上げる仕草を見せる。この所作は、「ユーフォ2」最終話で、副部長となった中川夏紀が新部長の吉川優子に対してスカートを慇懃無礼につまみ上げてお辞儀してみせた仕草の引き写しと捉えられる。この参照により、「リズ」が「ユーフォ2」と繋がる作品であることを示しつつ、以後作中で幾度も繰り返される、他人の振る舞いを写し取るという営みが導入されているのである。

 

「リズ」は「ユーフォ2」の諸要素を写し取っている――この視点でもって、ラストシーンに現れる「かき氷」について解釈をあたえていく。

 

「リズ」のエンディング直前、校門を希美とともに出たみぞれは「かき氷」を食べたがる。このシーンについて監督の山田尚子は、インタビューで次のように語っている。

――ハッピーアイスクリームがキーワードになってますね。

「みぞれはかき氷を食べたいと、あのシーンはいろんなものを象徴しています。本当にスーパーミクロな詰将棋のような現場でした(笑)」

(「spoon.」2018年6月号 p52)

みぞれがかき氷を所望するシーンが「いろんなものを象徴」しているとはどういうことか。

「みぞれ」とはかき氷の味のバリエーションのひとつであり、「みぞれ」が「かき氷」を選択したということから、みぞれに芽生えた自己愛のイメージを読み出すことが可能だろう。みぞれによる意志決定自体が「希美の決めたことが私の決めたこと」からの逸脱であり、みぞれの変化を端的に示すことがらである。

また、このシーンではみぞれが望むものがかき氷であるにもかかわらず、みぞれによる「ハッピーアイスクリーム!」の発話により、希美にアイスを食べたがっていると誤解されてしまう。このことから、希美とみぞれの二人が宿命的にずれていってしまうことを示すアイテムとして機能してもいる。

これらのみでも十分に意味を取り出せているようにも思えるが、先に指摘した「ユーフォ2」への参照という見地から、「ユーフォ2」第一話において、「かき氷」というモチーフが非常に重要な役割を果たしていたことが指摘できる。

 

花火大会会場近くの橋のたもとにて、黄前久美子は片手にかき氷の容器を持ち、もう片手で高坂麗奈の手を握りながら「源氏ロマン 光源氏は永遠に」と題された花火に見入る。そして次のようなモノローグを語る。

この時間は永遠ではない。大好きな友達ともいつか離れ離れになって、どんなに願っても全てはまたたく間に過去になっていく。今というこの瞬間を容器に詰め込んで冷凍保存できればいいのに。そうすれば、こわがることなんてなにもないのに。

花火の題とモノローグから、このシーンのテーマが永遠への願いと、それがけして満たされないことが示されている。モノローグが語り終えられたあと、久美子は溶けてしまった、かき氷だったものをストローで啜る。この行為は、「冷凍保存できればいいのに」という反実仮想のイメージと響き合う。溶けゆくかき氷は「冷凍保存」の不可能性、すなわち、時間はとめどなく流れ、何もかもが変わってゆくということの象徴である。

花火という瞬間の芸術に永遠への願いがこめられていることと、溶けゆくかき氷を持ちながら冷凍保存について考えることが、ここではパラレルに配置されているわけであるが、吹奏楽部員である彼女たちにとっては、ずっと一緒に居たい人とともにコンクールで一瞬の合奏に取り組むことも、花火やかき氷とパラレルな事象であるはずである。「コンクールなんて来なくていい」とは、みぞれにとってコンクールが希美との永遠を否定するものであったことを端的に示す台詞であったはずだ。みぞれは変化を遠ざけ否定に閉じこもり、窓を閉ざしていた。

そんなみぞれが、「コンクール、頑張ろう」と前向きに口にするという変化をみせる。永遠を望みながらも終わりに向かって羽ばたきはじめたみぞれが所望する食べ物として、永遠への反実仮想の祈りがこめられた「かき氷」以上にふさわしいものは、存在しないのではないだろうか。そう私は考えている。

 

続く(2)では「みぞれのオーボエが好き」周辺のシーンについて、ユーフォ2第四話との対照を軸に解釈していく予定である。

 

 

 

 

 

青葉モカは国語が得意

ガルパの、Afterglowバンドストーリー2章である『ツナグ、ソラモヨウ』をラストまでプレイしました。はちゃめちゃに面白かったです。その中で一箇所、この表現は凄いぞ!と大声で語りたくなるシーンがありましたので、そこについて語っていきます。

以下ネタバレがありますのでご注意ください。

 

 

アフロ2章で一等のお気に入りシーンがこれです。

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第3話。蘭はスタジオで新作の詞を披露しますが、Afterglowの4人の心には届きません。その帰り道に、モカは蘭の歌詞を背伸びと評しながら、加えて「あたしは国語が得意だから、なんでもわかっちゃうんだな〜」と口にします。

「国語が得意」。このセリフがめちゃくちゃエモい~~! というのも、モカの「国語が得意」は、『夕影、鮮明になって』第3話の「あたし、国語得意だからさ」を反復するものだからです。

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この反復の意味について考えるために、「夕影」での「国語が得意」がどのような文脈で発せられたかについて読んでいきます。

「夕影」はAfterglowが中学2年生の頃のお話です。クラスで孤立していた蘭は、抱える寂しさを詩にしてノートに書きつけていました。その詩を読んだモカは、蘭の心情を、そして蘭が詩を書くことの意義をすみやかに理解します。

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他人の言動を読み解き、気持ちを察する能力に長けているモカモカの言う「国語が得意」は、この能力を自賛する言葉といえるでしょう。

しかし、モカの国語能力については、続くシーンでもう一つの側面が語られます。

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「読み解くのと書くのはまた別なんだよ~。」モカが詩を書けないこと、ひいては、自分の気持ちを言葉にするのが苦手であることが、国語が得意にもかかわらず――という逆説によって表現されます。

モカの表現のつたなさは、様々なエピソードで表出します。代表的なエピソードとしては、バンドストーリー1章第14話で蘭にケンカを売るくだりが挙げられます。

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このときのことは、2章第8話でモカ自身が「あんまり、うまく言えなかったけど」と振り返っています。

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表現のつたなさは、「夕影」、1章、2章にわたって繰り返し現れる、モカが向き合い続けてきた困難そのものです。だからこそ、そんなモカが反復させる「国語が得意」には、若干の自虐めいたニュアンスが含められているように感じられるのです。

蘭の思いを誰よりも理解できると自負しつつも、悩む蘭を救う言葉を与えられないことを嘆く。この引き裂かれた思いが、「夕影」で「国語が得意」に与えられた文脈ではないでしょうか。

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(いつか……あたしが蘭を助けてあげられたら、いいのになあ)

「夕影」第3話でモカが語った、反実仮想めいたモノローグ。

2章第7話、公園で蘭が慟哭した瞬間は、まさにその「いつか」となりうる時だったでしょう。

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しかしモカは、うまく言葉を紡ぐことができません。

 

誰よりも蘭を理解できているのに、そばにいるのに、どうして「ごめん」なんて、つまらないことしか言えないんだろう?――というのは私の国語能力の限界ですが、ともあれ、私たちプレイヤーがモカの心情をありありと感じられるのは、このシーンに至るまでに積み上げられてきた、彼女たちの物語がよく書かれていたからでしょう。そして、その語りの技巧として、「国語が苦手」のリフレインがきわめてよい働きをしているなあと、私は考えています。

雑記#2 ガルパスクショリプというコミュニケーションについて

私はガルパスクショリプ——ガルパ(バンドリ!ガールズバンドパーティの略称)のスクショ(スクリーンショットの略称)リプ(リプライの略称)をtwitter上で頻繁にやる。このコミュニケーションの営みがどのような要素において成立しているかを検討する。

 

 

 

ガルパスクショはガルパのアドベンチャーパートの画面のスクショによってなされることがほとんどである。

アドベンチャーパートには、

・誰でもいつでもアクセスできるバンドストーリー・イベントストーリー・マップ会話

・誰でもアクセスできるが期間限定な誕生日イベント・新年、ハロウィン、エイプリルフール等シーズンイベント

・ガチャ、イベント報酬などから得られる、アクセスできる人の限られるメンバーエピソード

のおよそ3系統がある。スクショリプにおいては、その珍しさ、希少さがコミュニケーションのアクセントになることがある。

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ガチャの引きは個人により異なるわけだから、スクショのリソースが人によって異なるということになる。ここに、ある発話=スクショリプに各個人固有の発話が見出される可能性が生じている。

 

とはいえ、ガルパスクショリプというコミュニケーションの要となっているのはテキストボックスに表示されるテキストである。

ガルパのアドベンチャーパートはいわゆるノベルゲームの画面と同質のレイヤー構造をもつ。

・背景

・人物

(・服装)

・テキストボックス

・システム表示(メニュー)

 

テキストボックスには1シーンごとにゲームにより規定された文字が表示されるわけだが、この表示はアニメーション的に1字ずつ行われるため、スクショを撮るタイミングによって文字列のバリエーションを作ることができる。

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また、テキストとしてプレイヤーが設定した名前が表示されるメンバーエピソードがある。字数は限られるが、任意の文字列を埋め込むことが可能である。

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また、ガルパの特殊な点として、Live2Dによるアニメーション表現が存在する。

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同じテキストであっても異なるポーズを取りうるため、同一シーンから複数のスクショを撮ることができる。

 

こういった「ゆらぎ」をガルパスクショは持ちうるが、しかし「正調」のガルパスクショというものも規定することもできるだろう。各シーンにおいて、プレイヤー名を呼ぶことがなく、テキストが全て表示され、キャラクターのアニメーションが一通り終わりまばたきのみとなったあと、まばたきしていないタイミングで撮られたスクショを「正調」のスクショとして考えることが可能である。これは誰が撮ってもおよそ同じ画像となるものであり、最も標準的で、匿名性の高いスクショである。

現状、ガルパスクショリプは「正調」のスクショを基調としているように思えるが、今後ガルパスクショリプ界が発展するにつれて、より各人固有の「ゆらぎ」を重視した、より属人性が高いコミュニケーションを志向していくのではないかと想像している。今後のガルパスクショリプ界の動向に注視していきたい。

 

雑記#1

なんとなくこのブログのこれまでを振り返る雑記です。最終回ではないです。

このブログは作品論的なものばかり書いてきたように見えますが、初めて書いた記事は通ってた大学の食堂の食レポだったように思います。もう消してしまいましたが。

そういえばいまニコニコにブロマガを書いていたことを思い出したんですが、当時の自分はなぜはてなブログとニコニコに分散して記事を書いていたのか、もはやわかりません。

末吉のブロマガ - ブロマガ

 

こちらのブログで現在最古の記事は三島芳治の『レストー夫人』のレビュー(revueかもしれない)。三島芳治氏は現在トーチwebで大好評連載中の『児玉まりあ文学集成』もそうなのですが、フィクションについてのフィクションが本当にうまいです。レスト―夫人は学園で再演され続ける演劇が設定の根幹にある物語なので、実質レヴュースタァライトかもしれませんし、あらためて今読まれるべき作品なのではないでしょうか。適当なことを言っています。

 

マンガについてあれこれ書いたりしてるうちにアイカツにハマり、アイカツについてたくさん書くようになりました。アイカツについては、もはやアイカツのためのブログとなってしまうくらいあれこれ書きました。好きな作品について書いて、その作品を好きな人からリアクションがもらえるのは楽しかったです。61話の記事はありがたいことにALISONさんがtwitterで紹介してくださり、かなりたくさんの人に読まれました。

 

私が書いたアイカツ絡みの記事のうちでは、やはり108話論が思い入れ深いです。この論が提示したユリカ=白雪姫・スミレ=女王の構図は当時あまり指摘されていませんでしたが、とても重要な視点だったのではないかと思います。アイカツがもつ細やかで洗練された語りの魅力を明瞭に示せたのはよかったなと自賛したい気持ちがあります。その甲斐あってか、いくつかの評論テクストで参照いただいていて、大変うれしいです。氷上スミレやLoLi GoThiCについて考える際の叩き台としてどんどん使っていただければと思います。

あと、ぷっちぐみベスト(コミカライズ)の記事もお気に入りです。この記事は下のツイートを基に構成したのですが…。

 

これらのツイートの数週間後、ネーム担当?のかなき詩織氏がtwitterで「こっそり既刊の感想をめぐりに行ったら、楽しんでいただいているツイート何件かみつけてうるっとなりました…」とつぶやかれていて、これは…読まれたか…!?となり、前後のツイートであまりヤバいことを呟いていなくてよかった…と思いました。思い出です。

記事の内容としてもけっこう満足がいっています。ふつう幼年誌掲載のコミックで、こんな精度の高いコミュニケーションが投げかけられてきてるとは思わないですよね。その予断を超えて作品の魅力に気付け、そこに光を当てられたのは、よいことだったように思います。

 

アイカツ以外の記事では、ラブライブ!サンシャイン!!についてのものがお気に入りです。これは書き上げるのにずいぶん時間がかかりました。何を主張したいかを予め明確に持っていればシュッと書けたのかもしれませんが、どうやら私は書きながらそれを見つけていく性質のようで、書いては削り構成を入れ替え…ということを繰り返しなんとか完成させました。

主張/テーマをコンパクトにするというのは大事なことだと思うのでぜひやっていきたいのですが、いま書いているリズと青い鳥についての文章も例に漏れずぐじゃっと書きつける感じになってしまっています。どうなるかな。リズはTVシリーズ・ユーフォ2のデカルコマニーである、というところでひとつ、スパッと書き上げてしまいたいという所信だけ表明しておきます。

-

いまこうやって書いていて、自分の思うところを適当に書きつけるのはシンプルに楽しいなという気持ちになっているので、しばらく作品論的な記事は少なく、雑記が続きそうな気がします。雰囲気は変わるかもですが、フットワーク軽く書き続けていけたらいいなと思います。後に振り返って、この記事がこのブログの変節点だった…となる日が来ることを願いながら寝ます。おやすみなさい。

『新緑のラルゴ』に見るガルパシナリオの技巧

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『新緑のラルゴ』で氷川紗夜は白金燐子に「正射必中」の精神を語る。正しく弓を引くことこそが目的であり、的に当たるのはただの結果でしかない。周囲の期待に応えようとしすぎないこと。ただひたすら、正しいことをなすべきだということ。

正しくひく――と紗夜が語るとき、そこにはギターを正確に弾く『秋時雨に傘を』の紗夜の姿が影のように立ち現れ、弓道着姿の紗夜と二重写しとなる。弓とギターという紗夜の二つの得物は、ともに弦を持ち、「ひくこと」にまつわる。

「ラルゴ」の紗夜の弓道は、「秋時雨」の紗夜を呼び出す機能を持たされた隠喩である。正しく弾き続けることを決めた紗夜の信念の象徴である。

 

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「秋時雨」で、自らの「正確な」演奏を、日菜の自由な演奏と比べてつまらなく思い、もがき苦しんだ紗夜。

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日菜との衝突の果てに紗夜は、正確さをもって精進し続けるという結論を出した。

だから、正しく弾き続けることこそが自分の歩むべき道であると定めた紗夜が正しく弓を引くというときには、そこに「秋時雨」の雨音が混じって響くのである。

正しくひくことは、「秋時雨」の燐子にとっても重要な要素である。

「秋時雨」において燐子は、正確すぎることに悩み苦しむ紗夜へ共感を抱き、そしてそれを受け入れながら進む紗夜に憧れるようになる。

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「[微かな心配]白金 燐子」の「自由に憧れるのは」。紗夜の「正確すぎる」という悩みに共感する燐子。

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同じく「[微かな心配]白金 燐子」の、「ボレロを奏でて」。

燐子は、正確さに苦しむことへの共感から紗夜を理解し、それを乗り越えた紗夜への憧れを抱く。「ラルゴ」において燐子が正しくひくことーー紗夜の「正射必中」を成し遂げてみせるのは、燐子が憧れへと新しい一歩を踏み出せたことを鮮やかに表現するものなのである。

 

そして燐子はピアノのコンクールへと向き合い始める。

正確に弾くことから、燐子はもう逃げない。

 

過去のイベントへの参照を暗喩で織り込み、それぞれのキャラクターが経てきた変化の文脈で以って、新たなる変化を描き出す。この構造こそが、ガルパのシナリオを味わい深いものとしている技巧なのである。

 

マジ文章が書けなかった

 最近マジ文章が書けねえ、ということで、今日ふらっと寄った本屋で見かけた「マジ文章書けないんだけど」という本を買って読んだ。

 

マジ文章書けないんだけど ~朝日新聞ベテラン校閲記者が教える一生モノの文章術~

マジ文章書けないんだけど ~朝日新聞ベテラン校閲記者が教える一生モノの文章術~

 

 



 博学なおじさんが知識のない女学生に文章術を教える、というキツいテンプレートにウッとはなるが、気軽に文章を書いてみたくなる、そして推敲してみたくなる本であるところは、とても良かった。

 そういうわけで、文章を書いてみた。この本のことを忘れるまでは、今までより少し軽率にブログを書いていこうと思う。