書こうかなと思いながらも放置していた美月とみくるについての話をします。100話と173話の話です。取っ掛かりとしてまずこのツイートを検討してみましょう。
100話のみづみくがこう手を繋いでるところがWMの「M」の形になっていて、そこからみくるが手を離して背を向け、振り返ると同時にVサインを美月に突き出す、という流れ、「W」をふたつのVに分解するという意味だったのでは… pic.twitter.com/IVsNoGbjmk
— 末吉 (@suekichi) 2015年10月24日
Wは英語だとダブリューですがフランス語ではドゥブルヴェであり、ふたつのVです。ここでみくるがつくるVサインは、分割されたWの片割れであるといえます。というのも、みくるのブランドであるViVid Kissは、その大文字の配置から明らかなように、ふたつのVによってWを表しているからです。ViVidのふたつのVでW、そして美月のLOVE MOONRISEのMと合わせることによって『WM』を成すというのが、ViVid Kissに織り込まれた仕掛けだと思われます。
つまりこのみくるのVサインとはViVidのVであり、Wの片割れであるわけです。ここで言い添えておくと、二人の手を繋いだときのシルエットをMの字と捉えるというのも、CGシーンにおいて二人が手を合わせてWを、脚を重ねてMを表現していたことからいっても、けして不自然な読解ではありません。
この読みを認めるならば、みくるがMを崩してWの片割れであるVを美月へと突き出すというのは、WMの決定的な破断をみくるがもたらしたことを意味します。
WMの解散は予定されていたことではありましたが、美月はみくるのガーデニングの大会が終わって帰ってきた時には、再び隣に立つことができると思っていたのではないでしょうか。しかし、みくるは美月とライバルとして対決したいと語ります。美月はそれにショックを受けます。アイドルとしての二人のパートナーシップは、ここで完全に断たれてしまったのでした。
時は流れて173話、「ダブルミラクル☆」において、WMはスターライトクイーンカップを盛り上げるため、1日限りの再結成を行います。
そのステージ前に、美月は「これがWMのラストステージね」と改めてみくるに解散を明確に告げます。しかしその後、後輩たちのために、一度限りのWMの復活したステージを全力をかけてやり切ることをみくるに求めて、美月はみくるの手を握ります。
このとき、美月がみくるの手を握ることによって、ふたたび“M”のシルエットが生成されています。そしてみくるは美月の求めに応じて、「みくると美月の二人のミラクル、見せちゃおうかな」と二つのピースサインを作ってみせます。
この二人の行動が100話のやり取りのアレンジである、ということに異論はないでしょう(ご親切に直前にそのシーンの回想まで挟まれています)。手をつなぎMをつくり、ふたつのピースサインをつくり出してWを示してみせるWMのふたり。これは一瞬のまたたきのようなWM再結成を、二人でけんめいに愛おしむ所作にほかなりません。
美月がみくるにきっちり解散の意志を告げて(101話では空港へ見送りに行けないと言いながらも流されて見送りに行った美月が!)、あの時切り離されたみくるの手を再び取れるようになったというのは、美月が大スター宮いちごまつりと大スターライト学園祭を経て、いちごやかえで、ユリカと、それに織姫学園長とも絆を結び直すことができた経験の上に立って、初めて成し得たことでした。
美月はかつてのようなこわばった笑みではなく、心からの笑みを浮かべながらみくるを送り出せるようになりました。この美月の姿を見ながら、わたしの心に浮かぶのはTake Me Higherのこの一節でした。
「けして完結しない 欲望の中で 生きるのを愛してる」
美月の駆け抜けた日々の物語に、彼女の歌ってきた歌が完璧に追いつき、重なった瞬間!これぞまさに、アイカツという物語を追い続けてよかったと思う瞬間でありました。
ああ、神崎美月!ああ、アイカツ!
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ここからは完全に別の話なのですが、アイカツ!のベストエピソードをチョイスしたけど書くタイミングがなかったやつを、ここでついでに書いておきます。
6話 サインに夢中!
16話 ドッキドキ!! スペシャルライブ PART1
17話 ドッキドキ!! スペシャルライブ PART2
30話 真心のコール&レスポンス
32話 いちごパニック
40話 ガール・ミーツ・ガール
61話 キラ・パタ・マジック☆
62話 アイドルはサンタクロース!
71話 キラめきはアクエリアス
89話 あこがれは永遠に
108話 想いはリンゴにこめて
113話 オシャレ☆ヴィヴィッドガール
148話 開幕、大スターライト学園祭☆
173話 ダブルミラクル☆
以上の全14本が私的ベストエピソードです。アイカツ!は都合14クール放送したということで、14本という数字もちょうどいいかなと思っています。もっと特定のキャラのエピソードばかり選んでしまうかなとも思ったんですが、存外バランスよく散らばりましたね。61話と108話については過去にレビューを書いているので、そちらもぜひ読んでいただければと思います。