末吉日記

マンガとアニメのレビューとプリズムの煌めき

Her Storyをプレイしたぞ

『Her Story』というゲームがすごいらしいとのおうわさはかねがね伺っていたのですが、日本語版が出たということで喜び勇んでプレイしました。とても面白かったです。これはその紹介的な記事なのですが、このゲームをプレイしてみたいと思っている人は、以下は読まずにとにかく買ってプレイしてみることを勧めます。前情報なしのほうが間違いなく面白いタイプのゲームです。

↑日本語版(PC)はここで販売中です。定価598円が11/29までセール価格299円とのこと。Paypal,BitCash,WebMoneyで決済可。

以下レビューです。一応ネタバレには配慮したつもりですが、プレイするつもりの人は読まずに今すぐコンビニにでも走って電子マネーを得て買ってしまうのがいいと思います。

 

ゲームのジャンルはアドベンチャーゲームであり、キーボードとマウスを使います。

このゲームの目的は、警察のデータベースに保存されているある女性の事情聴取映像をできるだけたくさん観て、彼女がある事件についていかに語ったかについて迫ることです。ゲーム画面にはいかにも古めかしい端末のデータベースが映し出されます。データベースがあるのなら頭から順に全部見ていけばいいのではと思いますがそうもいかず、この旧式のポンコツデータベースは動画ファイルを古い順から5つまでしか表示できません。動画ファイルは合計271個もあり、これらを見るためには検索を駆使しなくてはいけません。たとえば「殺人」とフォームに入力して検索ボタンを押せば、動画で彼女が「殺人」と発言しているものが古い順に最大5つまで表示されます。そうして新しい動画を見つけ、そこで彼女が語ったことからまた新しい検索語をひねり出し、動画を見つけて…と繰り返すことによって、動画を収集しつつ彼女の身に何が起こったのかについて推理していくのがゲームの流れです。

この検索フォームに何を入れるかを考えるのがめちゃくちゃ楽しいです。集中を凝らし動画を見つめ、過去に見た動画と結びつけて前後の文脈を想像しつつ語られるひとつひとつの言葉に耳を傾けて、彼女の息づかいや視線も合わせながら彼女の中に息づく物語を読み取っていくわけですが、その読み取りの精度、確かさが、検索のヒット数として評価されるんですよね。なぜ今こんなことを言うのだろう?と思ったワードで検索して未見の動画がヒットしたときには、俺はちゃんと彼女の物語を読めているぞ!という喜びをかみしめられます。物語を読みこむということについて報酬がちゃんと用意されていて気持ちよくなれるというのがこのゲームの素晴らしいところであり、物語読解のゲーム化というのはこういう形でできるんだなあという新鮮な驚きがありました。

そして、このゲームが「『語ること』についての物語」をなしていることも私がこのゲームを大好きな理由なんですよね。以前ライフ・オブ・パイの記事でも書きましたが、この語ることの魔力について描いたフィクションが本当に好きなんです。彼女のストーリーの果てに何が起こってしまうのか。ぜひ『Her Story』をプレイして見届けていただきたいと思うところであります。