末吉日記

マンガとアニメのレビューとプリズムの煌めき

【階段式純情昇降機】杜野凛世 「某日、入り前」を読む

【階段式純情昇降機】杜野凛世の1つ目のコミュ「某日、入り前」を読解していきます。

シャニマス、とくに杜野凛世のプロデュースアイドルカード全般に関するネタバレがあります。

 

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コミュ1:「某日、入り前」

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冒頭、凛世は「でろー…………」と連呼する。エスカレーターを背景に、プロデューサーは「こんな場所で」と笑う。二人が会話を交わすのが、仕事先の建物内であることがうっすらと(のちにはっきりと)示される。凛世が「こんな場所」にそぐわない「でろー……」を繰り返し口にするのは、いったい何故なのだろうか。

 

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回想にて。寮の前に停めた車内で、凛世の眉間に刻まれたしわを見たPは、オンとオフ、仕事とプライベートの切り替えをするよう凛世に促す。

オフへの切り替え方として、プロデューサーは凛世にバターやチョコレートソースが溶け出す光景を想像させて、リラックスを促す。これは余談だが、頭の上に載せた蘇(バターかクリームチーズのようなもの)が溶け流れる想像をする、「軟酥の法」という瞑想法が実際にあるのだそうだ。

「と、トーストの上で…… とろっと溶ける……バター……」

と、目を閉じて復唱する凛世の姿をみて、わたしは水色感情Trueの「R&P」を想起した。

 

「R&P」のRとPがなにを意味するかについては諸説あるが、わたしはそのひとつに「Record and Play」が含まれると解釈している。「R&P」では、プロデューサーの言った「自慢のアイドル」というフレーズを大切に記憶し、そのフレーズをあらためて口にすることで喜びにひたる凛世の姿が描かれる。

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記憶して、口にする。喜びが再生される。凛世はレコードであり、そっと針を落とすと、胸のうちから溢れる水色の感情を載せた声が流れる。プロデューサーがその心をわかることはない。しかし、プロデューサーはその音を、わかるまで聴く。

 

水色感情に対するこのような解釈を許すなら、プロデューサーの言葉を復唱するという行為は、凛世にとっては単純な音の反復ではない。その行為には、凛世だけがひそやかに味わう喜びが含まれているのだ。

 

続く「でろーっと広がるチョコレートソース」で凛世は笑ってしまい、復唱に失敗する。プロデューサーが繰り出した独特なオノマトペがツボに入ってしまったのだ。プロデューサーはお互いの抱いている「チョコレートソースのかかったパンケーキ」のイメージに齟齬があるのではないかと的はずれな懸念を抱くが、凛世は軽やかに否定したのち、「でろーーっ」というオノマトペを弄びはじめる。

この凛世のお気に入りとなった「でろーっ(と広がるチョコレートソース)」というフレーズには、ある象徴的な意味を見出すことができる。

それは、「仕事とプライベートの中間領域」だ。

まず、このフレーズは仕事場から寮へと送り届ける車内という、ちょうど仕事とプライベートの境界であるような場所で凛世に与えられた。そして、このチョコレートソースのイメージはオンとオフの切り替えを促す手段として凛世に与えられた。パンケーキに温められて次第に粘性を低めていくチョコレートソースの連続的な状態変化が、「仕事」と「プライベート」の間をなめらかに推移することの象徴であるのだ。

 

回想が終わり、エスカレーターに背景が戻る。「でろーーっ」を繰り返し口にする凛世をたしなめようとするプロデューサーへ、凛世はこう応える。

「ここを……のぼりきったら……」

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ここで、凛世のたくらみが明らかとなる。

エスカレーターという、離れた二つの階層を連続的につなぐ機械の上で、のぼりきるぎりぎりの直前まで「でろーーっ」と繰り返すこと。それは、仕事とアイドルという二項のはざまで、その狭間においてのみ成立するプロデューサーとの関係を、懸命に愛おしむ所作にほかならない。

仕事の上ではプロデューサーとアイドル。プライベートではただの人と人。だけど、そのあわいにわずかだけ、新しい関係が生じる可能性がある領域が存在する。そこに凛世はそこに思いを懸けて、チョコレートソースを溶かすのだ。

 

 

TRUEコミュについてもそのうち書く予定です。

 

 

 

 

ウマ娘、タウラス杯のAグループ進出者の人数を計算してみよう

ウマ娘、やってますか。

タウラス杯、勝ててますか。

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決勝で会おう。

 

勝ち方についての解説はよそに譲るとして(中距離適性Sが本質です)、この記事ではどのくらいのプレイヤーがタウラス杯で勝てているのかをざっくり計算してみます。

準備

グレードリーグに参加した全プレイヤーを強さ順に並べ、0から1までの数を弱い順から均等に割り振っていくことを考えます。たとえば5人のプレイヤーがいる場合、0.2, 0.4, 0.6, 0.8, 1を弱い順に各プレイヤーへ割り振ります。この数を強さ比率と呼ぶことにしましょう。

強さ比率の値は全参加者のうちどのくらいの強さなのかを比率としてそのまま示します。0.4の人は下から数えて全体の40%の強さですし、0.8の人は下から80%=上位20%に位置する強さのプレイヤーです。

前提

さて、計算を始めていきますが、計算を楽にするためにいくつかの仮定をおきます。直感に反する部分もあると思いますが、あくまでざっくりとした計算ということでいったん受け入れてみてください。

・各プレイヤーの強さはタウラス杯の各ラウンド中には変化しない

・強さ比率が高いプレイヤーは低いプレイヤーに対してレースでかならず勝利する

ウマ娘のプレイヤーは十分に多いということを理由とした近似計算を許す

計算開始

強さ比率がs(0 < s ≦ 1)のプレイヤーについて考えます。このプレイヤーがラウンド1を通過し、ラウンド2でAグループに配置される確率を求めていきましょう。

ラウンド1には合計8回エントリーすることができ、各エントリーにつき5回レースに出場することができます。いずれかのエントリーで3回以上勝利することで、続くラウンド2でAグループに配置されます。

レース勝利

まず、あるレースで勝利する確率を求めてみましょう。レースでは他の2人との合計3人で対戦します。このとき、強さ比率sであるプレイヤーが勝つためには、対戦相手2人の強さ比率がいずれもs未満である必要があります。

ウマ娘のプレイヤーは十分に多いため、強さ比率がs未満のプレイヤーを引く確率はsと近似できます。2人引いて2人ともs未満である確率はs^2です。なので、ある1つのレースで勝利できる確率はs^2です。ついでに、負ける確率は1-s^2となります。

あるエントリーでのAグループ進出決定率

次に、あるエントリーで3勝以上する確率を計算します。

5レースのうちnレースで勝利する確率は、

5Cn*(s^2)^n*(1-s^2)^(5-n)

なので、あるエントリーで3勝以上する確率は、n=3, 4, 5のときの確率を足し合わせることで求まります。 計算結果は以下。

6s^10-15s^8+10a^6

ラウンド全体でのAグループ進出決定率

続いて、ラウンド=8エントリー通してのAグループへの進出率を求めます。

8エントリー連続で3勝できない場合にのみAグループに進出できないということになりますので、以下の計算で少なくとも1回は3勝する確率を求められます。

1-(1-(6s^10-15s^8+10s^6))^8

このsについての関数をグラフにするとこんな感じになります。縦軸が進出率、横軸が強さ比率です。

 

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強さ比率 Aグループ進出率
0.05 1.245316509E-6
0.1 7.880208309E-5
0.15 8.804327847E-4
0.2 0.00480757288
0.25 0.01760880395
0.3 0.04961847119
0.35 0.1151107864
0.4 0.2275530487
0.45 0.3896940319
0.5 0.5828024047
0.55 0.7668431001
0.6 0.9008412888
0.65 0.9707788169
0.7 0.9947563778
0.75 0.9995269594
0.8 0.9999842975
0.85 0.9999998922
0.9 1
0.95 1
1 1
全グレードリーグ参加者中のAグループ進出者の比率計算

最後に、グレードリーグに参加する全プレイヤーのうちどのくらいがAグループへ進出するのかについて期待値を計算します。

上の関数をsについて0から1まで定積分すると、値は0.5260443166315997ということで、グレードリーグ参加者全体のうち約52.6%のプレイヤーが通過することが期待されます。

計算した感想

・グレードリーグ参加者全体のうち、けっこう多くのプレイヤーが「全然勝てねえ……」と嘆いているであろうということがわかった(下位30%だと突破率5%未満)

・それなりにいけるラインといけないラインがパキッと存在していて、あるところを下回ると全然勝てない……となるんだなあと思った

・現実だと1回めのエントリーで負けがこんだら育成を見直したりガチャ引いたりなどして負けからよいフィードバックを得られるはずなので、実際の突破者はもっと多くなりそう

・ラウンド2でも同様の選別が行われるとすると、Aグループ決勝に出られるのはグレードリーグ参加者全体のうち27.7%のプレイヤー程度ということになる。計算するまではいうてみんな通過するでしょwと思ってたけど、意外とかっちり選別が進むんだな~

20201005 原神 オムナスアドベンチャー デビ太郎を再生する

起きてコーヒーを淹れて始業。通勤時間ゼロ秒のテレワーク以外考えられない体になりつつある。

お昼休み、気になっていたゲーム・原神のチュートリアルをちょっと触ってみる。ローカライズのフォント使いがわりかしちゃんとしているというだけでこれはいいものなのでは……?と思ってしまう。ちょろい。いまだにゲームといえばコンシューマという感覚なので、キーボードとマウスでゲームを遊ぶ姿勢になれておらず数十分触っただけでくたくたになり、ガチャ引くところまでさえ進めず。1回休み。

夜はシャニマスの配信を見る。

 

声優の出る配信を見たりラジオを聴いたりしていて、声優たちが私達を楽しませようとしてくれるばーりばりのエンターテナーに見えるときもあれば、なんの興味ももてないただの他人に見えるときもあって、その違いがこちらの気分によるものなのか、番組の企画の質によるものなのか、それとも演者の見せる姿勢によって生じるのかはわからないのだが、今日は全然知らない遠くの人に感じる日だった。音量を絞ってMTGArenaでオムナス出来事を回しつつ時折画面をちらちら見て過ごす。

配信ではとてもいいニュースがあった。

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https://idolmaster-official.jp/news/01_364.html より

 

デビ太郎ビッグクッションの再販!!!!! 当初発売を企画していたメーカーが倒産し予約が消滅して以来心のどこかにぽっかりと穴があいたような気持ちでいたが、ようやく人生を取り戻すときがきた。

 Life is coming back! 10/8は忘れずに発注しなくてはならない。そんな未来のささやかなタスクでさえ楽しみになるのでデビ太郎は最高。。。

 

昨日考えなきゃと言っていたiphonePC間の画像の共有は、素朴にDropbox使えばよくねというだけの話だった。

おわり

 

 

20201004 ミュークルドリーミー 小和田ラヂヲ 凛世が読んでる岩波文庫 Uber 新しい街 ≠

ameblo.jp

ツイッターで流れてきたブログ記事を読んでいて、以下の一文に目が留まる。

押入れの奥に片付けられていた古い日記を取り出し、

あの頃のことが書かれているものをもう一度読み直してみました。

日記、残ってると良さそうだなーと思ったので、書くことにした。

 

10/4

午前に起床。朝食食べたかどうか覚えてないけど多分食べてない、カフェオレは飲んだ記憶がある。

ツイにミュークルドリーミーの実況が流れているのを横目に、シャニマスの社長ミッションに挑み敗北を重ねる。

ミュークルドリーミーは1話がとにかく好きで、「夢」に対してフロイト的な視点、無意識の抑圧と開放の観点でアプローチしているところがごりっと硬めの構造を提示していてよかった。母親が服装の選択肢について無意識で抑圧していて、欲望のタガを外しての爆買いによって初めて本当に着たかった服が見つかるという、夢の怖ろしさだけでなく奥底に秘めた力の可能性まで描ける射程の広さが快かったんすよね。キッズ向けで"抑圧"に対して意識的であるということはそれだけで意義のあることだし~と期待しながら2話以降も観てたんだけど、自分が1話観て期待してたものとは違うものになっていってる感じがしてモチベーションが落ちちゃって続きを観られてない。監督が企画時から変わったのが大きいのかな? コメディとしては他では楽しめない愉快なテンポをもつ作品なのでそのうち観るとは思う。

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シャニマスはそれなりに真剣にやってて、最上位のグレード7とグレード6を往復するくらい(上位500~1000位程度)なんだけども、それでもEXTREMEでの完全掌握は難しい。Viアルスト使ってるのが良くない(先制攻撃に弱い)と思うのでViストレイへ組み替えてなんとかならないかな~と思いGRADをちょいちょいやる。

昼過ぎ、腹が減ってきたので飯をどうしたいか考えてみたところ、二郎系な気分だとわかったので、外出を決める。漫画家の和田ラヂヲ先生が展覧会を渋谷方面でやっているという情報をキャッチしていたので、それを見てからラーメンを食べるプランにした。

 

もたもた……(家を出る準備でもたついている様子)

 

www.1101.com

和田ラヂヲ展は壁じゅうにずらっと貼り付けられたネームが壮観だった。ネームに入ってる修正を見ると思考が追える感じがして面白い。ネームを3枚買って南青山から歩いて渋谷へ。

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↑購入したネーム。

途中でイメージフォーラム付近を通り、『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』がかかっていることを思い出す。

newdeer.net

渋谷方面へ出る機会がなく逃していたけど、これは絶好の機会とチケットを買う。腹が減っていたのでちょっと先の時間のやつを取って、先に渋谷でラーメンを食ってPARCOの大和田ラヂヲ展を見る算段をつける。

ラーメン屋はちばからへ。

www.ken21.jp

並の豚、にんにくネギを食べる。豚がめちゃめちゃやわらかくておいしい。ネギはなくてよかったかも。写真も撮ればよかったかも。

パルコへ向かう途中で丸善ジュンク堂に立ち寄る。昨日インターネット某所で、シャニマス公式がキャンペーンでツイッターに掲載した4コマ「電話の向こうは」にて凛世が手にしている文庫本が岩波文庫の緑っぽいという話題から、そういえば【ワン・モア・フラワリング】桑山千雪で千雪が読んでる本ってなんなんだろうねという話が展開された。

 

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私は凛世が読んでいるのは三遊亭円朝の『牡丹燈籠』、千雪が読んでいるのは書名まではわからないけど新潮文庫の何かなのではないかと推測した。

千雪の方は単純に定価やISBNの配置が新潮文庫のそれと同一で、この色の背も見覚えがあるというのが理由。

凛世の本については、まずカバーに緑色のブロックがどう配置されているかに着目してみた。

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岩波文庫(緑)の色付きの部分ってタイトルがどんと左上に配置されて、その下に作者名か編者名が入る2ブロック構成が多いと思うのだけど、凛世が読んでるのはタイトルの上に副題があって3ブロックになってるパターン。で、その配置が上から小・大・中となっている。この条件に合致するカバーのものを岩波書店のサイトから探してみると、以下の4冊が見つかった。

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このいずれかで、凛世が読む蓋然性が最も高いのは『牡丹燈籠』だ。というのも凛世はイベント「many screen」にてユニットのメンバーと落語の「死神」を演っている。「死神」は三遊亭円朝が創作した演目であるため、その流れで三遊亭円朝の『牡丹燈籠』を凛世は読んでいるのではないか……という推理。

というわけで丸善ジュンク堂で『牡丹燈籠』と、あと出たのをすっかり忘れてたオースターのブルックリン・フォリーズ(新潮文庫)を買って外へ……出ようと思ったら外へ出られるエレベーターの場所がわからず店内をぐるぐる回るはめに。気づけば映画の時間が迫っていて、ふぇ~という気持ちになったが、Uberが渋谷区で使えます!2000円引きクーポンあげます!というメールが届いていたことを思い出し、初UberTaxiを召喚してなんとか上映に間に合わせることに成功。

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渋谷でタクシー乗る機会なんてないしいいタイミングで使えてラッキー!

『新しい街 ヴィル・ヌーヴ』を鑑賞。感想をざっくりいうのは難しい感じの映画だったけれども、生々しい、アニメーション!て感じがすごくて、普通なら耐えきれないようなメインキャラクターの中年男性のナイーヴすぎるような感傷にも自然と付き合えちゃう魅力があった。

レモン味の炭酸水を買って飲み、帰るか~と思ったところで、押上で人が集まる由をツイにて知り、押上へ。

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「なんか……末吉じゃないみたいだな」

 

遅くまでしゃべって解散。帰宅しインターネットを眺め、日記を書こうと思い立つ。

書いた。もうすぐ5時……

iphoneの写真をいい感じにPCに同期したいので、やり方を調べてください>明日の自分

おわり

メモ:【われにかへれ】杜野凛世

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まえがき

このテキストはゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(シャニマス)に登場するプロデュースアイドル「【われにかへれ】杜野凛世」の読解メモです。
Dynalistで公開していたのですが、スマホから読み辛かったため、こちらのブログに編集を加えて転載しました。

このテキストで行おうとしているのは、コミュに登場する諸要素について細かく読みほぐしていくことにより、語られた物語の意味をなるべく多く汲み取ろうという営みです。
読解の方向性を探りながら書かれたメモなので、メモ内の記述どうしで不整合な箇所がある場合があります。

このメモには【われにかへれ】を含む杜野凛世のプロデュースアイドルコミュ全般およびGRAD等共通コミュについてのネタバレがあります。ご承知のうえお読みください。

コミュ1:「夏雲だけを覚えてゐる」

各場面ごとのメモ

シーン:凛世とPは撮影に前乗りするため、路線バスでロケ地へ

  • 凛世がバス車内の写真を撮る
  • 「何か撮ったのか」「は、はい……――――いえ……」「……バスを……」
    • 凛世がなにかを隠そうとしているようにもみえる
    • 写真を撮った動機は選択肢以降で明らかになる
    • 無人の車内ではなく、並んで座る二人の姿をこっそりインカメラなんかで撮った可能性もある?
  • 凛世の写真撮影について、Pは凛世が雑誌に提供する『夏の一枚』を撮ろうとしたと考える
    • アイドルとして、仕事の一環で写真を撮ったという解釈
    • Pは凛世の行動が私的なものであっても仕事として行っているものと解釈しがち
    • 凛世にとって、撮ること、撮られることのどちらの「撮影」も仕事となっている
  • 無人のバスもいいけど 窓の外の方が、シャッターチャンスあるからさ」
    • 凛世にとってはPと乗っているバスであるだろうが、「無人のバス」というP
    • 自分を勘定に入れようとしないのは、お土産を遠慮するところと通じる?
  • バスの停車音。真っ白な画面。P「夏雲だ」
    • 雲といえば【凛世花伝】「しゅら -syura-」の「う・き・ぐ・も……?」選択肢
    • そこにあるようでいて手で触れることはできないもの
    • 凛世は手の届かない浮雲を見上げている
    • 凛世にとって浮雲はPと結びつくイメージ
  • 上下に黒い帯のかかった海辺の背景。凛世「夏雲だ――」
    • シャッターチャンス=優れた被写体
    • 凛世が撮影の仕事のため、すなわち被写体となるためにこの場所を訪れたことと関係がある?
    • 上下にかかる黒い帯は写真として撮られた光景を意味する?
    • Pの言葉を反復する凛世の姿は、【水色感情】「R&P」でも見られたもの
    • 「杜野は自慢のアイドルですから」「凛世は自慢のアイドルでございます」
    • 背景が帰りのバスを待つ際の背景と同じであるため、目的地のバス停に到着した演出ととれる

シーン:バス降車後

  • P「観光気分じゃまずいな」凛世は首を横に振って「凛世の……心も…… 同じように……」
  • 「いいか!」「今日だけは特別だ」
    • 仕事を離れ、プライベートな旅行のニュアンスを帯びる
  • 「明日からの撮影、頑張ろうな」
    • ここで凛世が笑う
  • 「あ、それそれ!そのまま……!」凛世の笑顔にシャッターを切るP
  • 「このロケのことか、雑誌の件かわからないけど バスに乗っている間、ぼんやりしてたから」
    • 凛世がぼんやりしていたのは、仕事について考えていたからだと解釈したP
    • Pは雑誌に提供する『夏の一枚』について凛世をサポートしようと写真を撮った?
  • 「これが…… まことで……うつつのことか――――」「このようなところに……プロデューサーさまと……」「これが……まことのことか……どうかと……」
    • 「まこと/うつつ」=「我に返っている」
    • 対となるのは「ゆめ」だろうか
    • 仕事とはいえ、Pと二人での泊りがけの旅行という非日常的体験を凛世は現実と思えないでいる

◆選択肢・左:「実感ないもんな、こんなとこ来たって」

  • 「実感ないもんな、こんなとこ来たって」
    • 文面だけ見ると、Pが以下のどちらを意図して発言したのかわからない(「~って」の意味が不定
    • こんなとこ来た「という」実感がない(about派)
    • こんなとこ来た「としても」実感はない(even派)
    • 後者の場合何についての実感がないのか省略されているということになる
  • 「うつつのようには……思われず……」「せめて……写真にと……」
    • 「うつつのようには思われない」=「夢のよう」だからこそ、夢から覚めても残るものとして写真を撮ろうとした?
    • コミュ3「こもれ 日」にて、買うことを禁じられたPへのお土産と並置されているのが「バスの一枚」なので、旅を終えた後にも残るものとして凛世は写真を撮ろうとしたのではないかと思われる
  • 「じゃあ、いっぱい撮ろうな!」「現実って感じがするまでさ」
    • 写真撮影を通じて現実感を得ようと提案するP
    • 「うつす」と「うつしよ」/「うつつ」が引っ掛けられている可能性?
    • 夢が現実となることには「夢がかなう」と「夢からさめる」の二つのアプローチがある
  • 「やはり……うつつであるとは……とても――――」
    • 二人のずれに気づかず、夢がかなうイメージを抱き続ける凛世

◆選択肢・中央:「よーく見てくれ」

  • 「よーく見てくれ」「ほら、今の写真 ちゃんと写ってるぞ、この場所に」
    • 非日常的な場所に凛世が確かに居ることを示す
    • 凛世がうつつのことか疑うのは、この場所にまだ馴染んでいないだけと解釈した
  • 「よーし、それならもう一枚だ! 今度はでっかく風景を入れよう――――」
    • 「窓の外のシャッターチャンス」と凛世を組み合わせた良い写真を撮ろうとするP
  • 「凛世も……確かめたくて……」「撮ったのです……」「これが……まことである……ということを――――」
    • 写真を撮るとまことであることが確かめられる、というのは一見よくわからない理屈
    • 写真を撮ってみたところで、夢の中で撮った写真が夢の中で見られるのは当然なので、まことであることの証にはならないため
    • 左選択肢で解釈したような、「夢からさめても残るものとして写真を残そうとした」ならわかる
    • その場合「確かめる」というよりは「確かにする」という言葉がふさわしい行動か。エビデンスを残す
  • 「ほら、笑って――――」笑顔になる凛世

◆選択肢・右:「俺も、そうかも」

  • 「俺も、そうかも」「ほんの2、3時間前まで事務所だったんだ それが……」
    • 凛世の台詞には「Pとここにいること」に現実味がないという話だったが、Pの台詞には「凛世と」という視点がない
  • 凛世「はい……」
    • Pとの意識のずれを知ってか知らずかPの同意を受け入れる凛世
    • Pの解釈が自分の意図とずれていても凛世は「はい……」と同意を返しがちな気がする(要調査)
  • P「土産物もあるみたいだぞ――――」
    • 土産物はコミュ3で二人のいさかいの原因となるアイテム
    • この時点ではPが観光気分で浮かれ気味な様子を強調するモチーフとして登場する
  • 「これに乗って……ここへ来た……」「すべて……まことのことで……ありますようにと……」「写真を――――」
  • バス車内の写真(上下に黒幕)「ふふっ……ブレております……」
    • まことかそうでないかの境界がぼやけた状態を示している?
    • 夢うつつな状態
    • ここで人の写らない写真が画面に提示されるので、やはり自分たちではなく無人の車内を撮ったと素直に解釈すべきな気もする

コミュの要点

  • 舞台設定を説明するコミュ
  • 仕事とプライベートとの対立を提示
    • 凛世のコミュでは繰り返し語られてきた要素
      • 【凛世花伝】プライベートの時間で二人で水族館へ行くが、Pに急な仕事が入ってしまう
      • 【十二月短篇】二人で花火を見るが、仕事の終わった凛世と、仕事へ行かなければならないPとで別れてしまう
      • などなど
    • 凛世はPへ私的な慕情を抱いているが、その感情を声にしても、仕事として凛世と向き合うPはいつも聞き逃してしまって伝わらないというのが凛世コミュによく見られる構図
      • 「仕事/プライベート対立軸」と「ちゃんと聞く」問題系の2要素に分解できる
    • カードタイトル「われにかへれ」もこの観点から見ることが促される
      • 「ゆめ」/「うつつ」が「プライベート」/「仕事」と対応している
      • 夢というワードはコミュに出てこないが、うつつでない、まことでない状態というのは夢を指すものだろう
      • ブレた写真=夢と現実の混濁→いずれは現実へ=われにかへる

コミュタイトルについて

「夏雲だけを覚えてゐる」

  • 夏雲はPがシャッターチャンス、優れた被写体と考えるもの
  • 一方凛世は撮影の仕事のため、つまり被写体となるために地方を訪れている
  • 夏雲は凛世と重なり合うような存在?
  • TRUEでは凛世は夏雲を擬人化する(「夏雲も……覚えていて……くれましょうか」)

コミュ2:「むらさき」

各場面ごとのメモ

シーン:海の家、撮影の休憩時間

  • 凛世の心象風景。「あおい」「あかい」
  • 背景、海の家。P「べー」凛世「べー」
    • コミュタイトルが「むらさき」なので、赤と青の舌が混ざり合う官能的なイメージを強く喚起するシーン
  • 再び凛世の心象風景。「あかい」「あおい」
  • 背景、再び海の家。Pと凛世がかき氷を食べて舌を見せあっている
  • 「あかい」背景に切り替わり、凛世のいちご味のかき氷の話をする
  • 「あおい」背景に切り替わり、Pのブルーハワイ味のかき氷の話をする
  • 背景海の家に戻る。「これ、混ざったら紫になるのかな?」「ふふふ……紫の舌は……恐ろしいです……」
    • 冒頭で赤と青の舌からプレイヤーが想像した「むらさき」と一致するワードを凛世が口にすることにより、凛世が自分とPとのロマンスを意識しながらも「恐ろしい」と退けているような含みが生じる
  • 「青でやめておこう」「赤でやめておきます」
  • 「これ、撮っといたらいいんじゃないか?」「それは……はい……」
    • 『夏の一枚』に良いのではないかという提案
    • 凛世は予想していなかったというような表情
    • 『夏の一枚』の撮影は仕事のひとつであり、休憩時間に持ち出されるとは思っていなかったのではないか
    • 仕事とプライベートの混線
  • 「じゃあ凛世の携帯がいいよな もう一回、べーだ」「心得ました……べー……」
  • 「ふふっ……では……その――――」「――……プロデューサーさまも……」「え?」「もう一度……べー……でございます」
  • 背景が「あおい」に切り替わったあと、海の家に戻る

◆選択肢・左:「ありがとな」VoDa

  • 「ありがとな」「でも、俺は写る方の人じゃないからさ」「はは 俺は、写る人を支える方」
    • 被写体となることを嫌がるP
    • 凛世が個人的にPの写真を撮りたがっていることを踏まえた上で断っている?
    • 俺の写真を撮りたがってくれて「ありがとな」?
  • 「凛世の携帯にさ 俺がこんなに遊んでるの、残せないよ」
    • 真面目な姿ならともかく、遊んでいる自分の姿をアイドルの携帯に残すべきではないという判断
    • リスクマネジメント的な、仕事上の判断
  • 背景「あおい」凛世「――――…………」
  • 背景海の家「な? じゃあ仕事するぞー ほら、もう一枚――――」
    • 仕事として撮影
    • 撮影の休憩時間なのに撮影の仕事がはじまっている
    • プライベートな時間に仕事が侵食しているのは、仕事のために来たけど観光気分になっていいとしたコミュ1と対称的
  • 「混ざらないのですね……」シャッター音
    • 「あおい」背景が、Pの司る「仕事上の関係」という側面を象徴している
    • 「あかい」は凛世がPに対して抱く、「私的な情緒」の象徴だろうか
  • 凛世「べー」
    • 「べー」のもつ意味が、舌の色を見せ合う遊びから、凛世の反発心を示す仕草へと変化している
    • 次のコミュでの凛世の拗ねる行動へと繋がる描写

◆選択肢・中央:「俺はいいよ」Vo

  • 「凛世のことを伝えるんだから ――あ、器を撮るのはどうだ?」
    • 凛世が写真を撮るのは凛世のことを伝える『夏の一枚』のためだということを前提とした返答
    • 凛世としては『夏の一枚』は念頭になく、個人的に撮りたかった写真だったので、凛世の返答は、いえ……と一度打ち消そうとしてはい……と流されるものとなっている
  • 「おおー、いい感じじゃないか 赤いシロップ、綺麗だなぁ」
    • 凛世の携帯で凛世が撮ったものを見た感想だと思われる
    • いちご味のかき氷に被写体として優れているという評価を与える
    • コミュ1の夏雲と同じ?
  • 「あ、でも俺の器も写っちゃってるな 使う時は切らないと」
    • 雑誌に載る際に、誰と一緒だったのか、などについて邪推されないようにする仕事上の判断
  • 背景・青。凛世「…………――――」
    • Pが仕事の論理を優先させることを受けた青い心象風景
  • 背景が海の家に戻る。「紫に……」「なぁ、りん――――」「してしまえばよかった……」
    • かき氷を紫にしてしまえば、トリミングされることなく二人の思い出として写真を残すことができたのに、という詠嘆か
  • 「はい…… 綺麗な……赤でございます……」
    • ここでの「綺麗な」には、混じりけのない、紫とは程遠いという皮肉めいたニュアンスが漂っている
    • 被写体として優れた仕事をこなすいちごのかき氷に対する皮肉は、そのまま撮影の仕事をこなす凛世自身に対する自嘲として機能する
    • 自分がただ撮られるだけの存在、仕事でしか求められない存在でしかないことに対するフラストレーションがにじむ表現

◆選択肢・右:「ダメダメ」Da

  • 「俺なんか撮っても いいことないぞ?」「い、いえ…… 青いべー……赤いべー…………」「ふたつともに…… 今日の……思い出…………」
    • 凛世が、雑誌に提供するためではなく思い出として残しておきたいという撮影の意図をPへ正確に伝えられたパターン
  • 「ありがとな、そんなふうに言ってくれて じゃあ俺の携帯でお願いしようかな」
    • 「ありがとな」選択肢と似たような判断
  • 「いえ…… 凛世の――――」「――ほら、このボタンでカメラが起動するから」
    • Pが凛世の発言を遮ろうとしているようにも見える
  • 青い舌を撮影
  • 背景・青「ふふっ…… 青い……」「ははっ、うーん…… アイドルの写真と比べられるのはきついなぁ」
  • 「こんな写真、入れとくもんじゃないぞ?」「プロデューサーさま……?」「な」
    • 凛世の目の前で携帯から消去した?
    • 凛世が「今日の思い出」を残したいと言っているにもかかわらず消し去るP、人の心がない

コミュの要点

  • 凛世とPの対立が赤/青という色によって示される
  • メモ帳を使ってプロデュースすると、選択肢画面で左から「VoDa」「Vo」「Da」のアイコンが表示され、赤と青と混ざり合う紫というイメージに閉じていて美しい
    • 初見でメモ帳使った人の何割が左を選んだか気になる
    • アイコンの色とコミュの内容にはあまり関係がないように思われる
  • 舌、混ざり合う、といった官能的なイメージが用いられるのが特徴的
  • ままならない現状に反発する心持ちが凛世の中に育ってきていることが示される

コミュ3:「こもれ 日」

各場面ごとのメモ

シーン:宿の凛世の部屋。Pと凛世。凛世は眠っている

  • P「ごめんな――――」

シーン:回想。土産物屋

  • 風鈴の音
  • 凛世は放クラと寮のメンバーに加え、Pにもお土産を買おうとしていた
  • 「はは、俺はいいよ ここに来れてるし」「そのぶん、誰かに渡してあげてくれ」
    • お土産を用意する人数が多いのを気にしている?
    • TRUEのお土産宅配はここと繋がる描写かも(たくさん買ったので宅配)
      • たくさん買ったので宅配にした?
  • 「いや、もったいないよ そんなのいいから――――」
  • 背景、セピア色の海の家。コミュ2の回想。凛世「――――」
  • 「よく……ありません……」駆け出す凛世

シーン:回想続き。凛世の部屋とその前の廊下

  • 部屋にこもった凛世に廊下からPが呼びかける
  • 「何か気分を悪くしてたら――――」「わ……悪くしては……おりません…………」
    • 気を悪くしてその場を去ったのだから、ここで凛世は嘘を言っている
  • 海の家、土産物屋(セピア色)の背景「……写真も……だめ…… 土産ものも……だめ……」「凛世には…… バスの……一枚だけ――――」
    • ブレてしまったバスでの写真一枚しか二人の思い出を残したものがない
    • Pへ土産物を渡すのも、二人の思い出としてPに持ち帰らせたかったものと考えられる
    • あるいはPとお揃いのものを自分にも買うつもりだったか

シーン:回想続き。温泉に入るP。夕景

  • 凛世が気を悪くしたのは土産物屋で無神経なことを言ったからだと反省する

シーン:回想続き。凛世の部屋とその前の廊下。夕景

  • 廊下から部屋の凛世へ呼びかけるが返事がなく、部屋へと入るP
    • 部屋に入ってまで確認するのはやりすぎ感もあるが、凛世が【杜野凛世の印象派】「drawing2(まどひあか)」で急にどこかへ行ったり、GRAD「いたかった」で携帯の電源を切って海へ行ってしまったことがあることを思うと心配して部屋に入りこむのもやむなしかもしれない
  • 「こんなところで……――――」
    • こんなところとはどこか?
    • https://omotenashi.work/column/bits_of_knowledge/8316
    • 踏込や前室といった、入り口付近?
      • Pがまた声をかけるのを待っていたニュアンス
      • GRAD「いたかった」で携帯の電源を一度は切ったけど海辺で再投入していたこととこじつけると、Pが再び現れるのを戸の向こうで待ち続けていたという読みがあり得るかもしれない
    • 広縁の椅子とか?
      • 奥まった位置に閉じこもったニュアンス
      • 椅子で寝てる人に「こんなところ」とは言わない気もする
      • 木漏れ日が差しこみそうな場所ではある
  • 「凛世…… はは、よく寝てる……」「………… ごめんな――――」
    • コミュ冒頭と繋がる

◆選択肢・左:「起きたら話そう」

  • 「話そう」とは言ったものの、凛世が話してくれていたことに思い至り反省するP
  • 「もう一回、答えさせてくれ」

◆選択肢・中央:「…… まんじゅうがいいよ」

  • 「…… まんじゅうがいいよ」
    • 凛世は形として残るものをお土産にしたいだろうに食べ物を所望するP、人の心がないよ
  • 「ありがとな…… 俺、ありがとうって言うべきだった」
    • 「ありがとな」がコミュ2の左選択肢の返答だったことと、その後の展開を思うと若干の引っ掛かりを感じる向きもあるかもしれない
  • 「――仕事に来てるだけじゃ ないんだよな」「凛世の夏を…… 預かってるんだから」
    • コミュ2で休憩時間にも仕事仕事でごり押しだったことを踏まえると、ここはツボを押さえた反省をしている
  • 「おやすみ…… 起きたら、言わせてくれ」「ありがとうって」

◆選択肢・右:「難しいな」

  • 「謝ったって…… 言ってしまったことは消せない」「俺に買ってくれるって言ったのにな …………『そんなの』なんて」
    • 凛世の気持ちを踏みにじってしまったことに気づき悔いるP
  • ただ遠慮したつもりだったP
    • ここはPの独白なので、裏では実はこう思っているとかそういう可能性を読まなくていい部分
    • Pは凛世の気持ちをわかってて袖にしているとかではなく、単純に仕事人間っぽいことがわかる
  • 「もう一度聞いてくれるなら 今度は言うよ」「嬉しかったって――」

コミュの要点

  • コミュ2で予感させた凛世の反発心が爆発するコミュ
  • 拗ねるという行動を取ったのは、GRADで欲、「もっとわがままになっていい」という回路を得たからか
  • PはPで自分の悪さに気づけていてえらい
  • このカードが、Pが凛世の声をちゃんと聞けるかどうかという、凛世のコミュで繰り返し語られてきた問題系を引き受けるカードであることがここで明確となる
    • 【微熱風鈴】で凛世の言葉を聞き逃す(「みをつくし」の流木選択肢)
    • 【凛世花伝】「だから、頼むよ 俺にも、できるだけ凛世の言葉を聞かせてくれ」(「しゅら -syura-」の「……?」選択肢)
    • 【水色感情】「――凛世のこと、わかってるような気がしてたよ でも……」「気がする、じゃダメなんだ」「わかるまで聴こうか」「プロデューサーさまが……」「聴いていてくださる……限り……」(「R&P」)
    • GRAD「聞こえて……おりましょうか……?」「ちゃんと、耳を澄ませられる 自分でありたいって思うよ」(「he」)
    • などなど

コミュタイトルについて

「こもれ 日」

  • 木漏れ日と、籠もれ/隠れ(こもれ)がかかっている?
    • 日が隠れるといえば天岩戸に天照が隠れたことが連想される
      • Pも廊下で裸踊りを披露すべきだった説
    • 木漏れ日はとくにコミュ中で登場していない要素であり、解釈を与えたいワードではある
      • 木や葉、太陽、影、あたりから連想できるエピソードが他のカードのコミュにあってゆるやかに繋がっている?
      • 次の「月があたらしい」と合わせて、太陽と月が二人の象徴となっている?

コミュ4:「月があたらしい」

各場面ごとのメモ

シーン:【過去A】Pの回想。コミュ3のあと、凛世が目覚めてからの時間。宿。

  • 「――約束しよう、凛世 『なんでも言う』『言うか迷ったら言う』」
    • それが言えたら苦労しねえんだわ

シーン:【現在・夕】撮影終了後の夕方。山のなか。林。

  • 撮影終了をスタッフから労われる凛世。Pはタオルを凛世に渡す
  • Pのモノローグ。「いつだったか もっとわがままになってほしいって、言ったよな」
    • GRAD「いたかった」参照

シーン:【過去A】

  • 「俺も聞くよ 『なんでも聞く』『聞くか迷ったら聞く』」
  • 凛世、謝りながら「はい……そのように……」
  • P「ああ。いや……! 謝ってるのは俺なんだ」

シーン:【現在・夕】

  • P「他に欲しいものとか、ないか?」
    • この「欲しいもの」は、GRAD「いたかった」への参照直後に出てくるため、GRADにおける「欲」の文脈で読み手に響く
    • 凛世の声を聞こうと『なんでも聞く』を愚直にやっているP

シーン:【過去A】

  • 「……その ごめんな」「い、いえ……! 申し訳ございません……」
    • 謝ってるのは俺、という体裁を取ろうとしたが重ねて凛世に謝られてしまうP
    • コミュニケーションがうまくいっていない感触がある

シーン:【現在・夕】

  • Pのモノローグ「……そんな簡単なわけないよな これまでの習慣や関係を、変えるなんてこと」
    • 欲しいものを聞いたが、凛世は欲しいものがあったとしてもそれを言わないだろうという、経験からくる直感があったのだと考えられる
  • 「……いえ…… 特には……何も……」「そっか うん」
    • Pの予想通り。
  • 「……ごめんな」「……っ 凛世こそ……申し訳ございません……」
    • 回想時と同じ謝罪の応酬
    • ここでのPのごめんなは、習慣の変更という簡単ではないことを凛世に強いていることへの謝罪と思われる
  • Pのモノローグ「…… でも――――」
    • 凛世に負担をかけていることはわかりつつも、より凛世の声を聞こうと、関係の変化を望むP
    • この「でも」は、「お土産を一緒に買いに行くことが決まり凛世に笑顔が戻ってほっとした。でも自分が本当に聞き逃したことってお土産のことだけだったのかな」と連なる一連のモノローグの「でも」の部分でもある
  • 凛世は「欲しいもの」として、近くの沼地の蛍を見に行きたいと希望し、Pはそれをよろこんで了承
  • Pのモノローグ「……それだけだったのかな」
    • 凛世が欲しいものを言ったこと自体は嬉しく受け入れるものの、口にしたこと以外にも欲しいものがあったのではないかと感づくP
  • 凛世、笑顔になる

シーン:【現在・夜】時間が進む。山の中、鈴虫が鳴いている

  • Pと凛世、無言で歩く

シーン:【過去A】

  • Pは凛世が買うと言ってくれた土産ものの申し出について、改めて「ありがとな」と感謝の言葉を述べ、翌日の撮影の後に一緒に買いに行く約束をする
    • 中央選択肢ノルマ達成

シーン:【現在・夜】

  • P「……なぁ、凛世」

シーン:【過去A】

  • P「そうか、行ってくれるか よかった……!」
    • お土産の話

シーン:【現在・夜】

  • Pのモノローグ「笑顔が戻ったのを見て、あの時はほっとしたよ でも……」
    • 「あの時」とは、土産物の約束を改めて取り付けたとき(直前の回想)

シーン:【過去B】回想。コミュ3で凛世が宿の部屋にこもったシーン

  • 「………… ほ、放っておいて……くださいませ――――――」

シーン:【現在・夜】

  • Pのモノローグ「……それだけだったのかな 俺が聞き逃したこと」
  • 凛世「…… はい……?」
    • P、モノローグが口に出ていた?
  • 凛世、蛍の沼に気づき、Pの制止を聞かず沼へ入る
  • Pのモノローグ「……難しいな、凛世 誰かの心を知るって」
  • Pのモノローグ「―― なかなか聞こえるようには、ならないもんなんだな」
    • 「ちゃんと聞く」の問題系

アニメーション
シーン【現在・夜】

  • 【水色感情】のレコード再生時っぽいBGM
    • どぅ、どぅと凛世の胸は鳴っていたのかもしれない
  • 「――――しい……」
    • 「こいしい」or「いとしい」説
    • 蛍は求愛のため光るのであるが、のちの会話では蛍が何と言っているのか聞こえるかどうかが話題の中核となることから、求愛に関する言葉だと考えられるのではないか
    • Pが聞き逃しがちなことといえば、凛世がPへと抱く恋のニュアンスを含んだ言葉なので、ここでまたPが「聞き逃している」ことから、凛世はここで恋愛にまつわる言葉を発していると察せられる
  • 「光って……消えて……」「なんと……言っているのでしょう…… 蛍は……」
    • 擬人的な表現
    • 蛍同士のコミュニケーションに興味があるわけではなさそう
    • 和歌においてしばしば身を焦がす恋心の象徴として用いられる蛍を通じて、Pを恋い慕う自分の心の声が聴き取られることを願ったのではないか
    • ガチャ登場時演出台詞「呼び交わすように……瞬き……瞬いては……すれ違う……」
  • 「……聞こえたらいいんだけどな」「はい…… 聞こえたら……良いのですが……」
    • 聞こえたらいいんだけどな、じゃあないんだよ聞こえたらいいんだけどなじゃあ
    • 凛世は自分の恋心をただ伏せるのではなくて、きわめて婉曲的だけど蛍を介して「言って」るんだからPはちゃんと聞いてあげて!!!!!!!!!!!!!

コミュの要点

  • 時間が行き来し、そこにPのモノローグが度々挿入される語り口の複雑なコミュ
  • ノローグだけをつなげて読んでも読めなくはないが違和感がある文になる
    • 「いつだったか もっとわがままになってほしいって、言ったよな」「……そんな簡単なわけないよな これまでの習慣や関係を、変えるなんてこと」「…… でも――――」「……それだけだったのかな」「笑顔が戻ったのを見て、あの時はほっとしたよ でも……」「……それだけだったのかな 俺が聞き逃したこと」「……難しいな、凛世 誰かの心を知るって」「―― なかなか聞こえるようには、ならないもんなんだな」
    • Pが回想なり現在の状況なりに逐一モノローグでコメントをつけていると読むのが適切か
  • GRADへの参照
    • 欲を出すこと、わがままになることについて
    • Pが凛世を聞こうと努力すること
  • 蛍を介してPへ語りかける凛世
    • 【微熱風鈴】の桔梗アピールと通じるところのある表現

コミュタイトルについて

「月があたらしい」

  • 「あたらしい」がひらかれているので、掛詞かなという印象
    • 新しい/可惜しい
      • 月が新しい→新月、暗い夜→蛍を見るのにふさわしい夜
      • 月が可惜しい→月が惜しい夜→月のために蛍の光が目立たない夜
    • という対比かと思ったけど「可惜し」ってもったいないというニュアンスがあるっぽいので、こういう「惜しい」に使えないかもしれない
    • 調べたら蛍は月の明るい夜には光らないそうなので、普通に新月でしたというだけの意味で掛詞じゃないのかもしれない
  • 月といえば
    • WING決勝敗北コミュ「漕ぎいでな」の元ネタである和歌は月にまつわる和歌
      • 「熟田津に船乗りせむと月待てば潮もかなひぬ今は漕ぎ出でな」
      • 航海するために月が出るのを待っていたら潮目も良くなってきたので今こそ漕ぎ出そう、という歌
    • WING決勝勝利の「世界」で引用される歌にも月が出てくる
      • 「天の海に雲の波立ち月の船 星の林に漕ぎ隠る見ゆ」
    • 【凛世花伝】Trueで引用される与謝野晶子の歌にも月が出てくる
      • 「なにとなく君に待たるるここちして出でし花野に夕月夜かな」
      • Pは「月が待ってくれてる」歌と解釈
      • 「君」=「月」という独自色の強い読み方
      • 凛世は「なんとなく貴方が待ってくれているような気がして、たまらずに飛び出してみると花野に月が照っていた」という一般的な解釈
      • 凛世「片恋にも見える相聞の歌」
      • 相聞とは消息を伝え合うこと。自らの恋心を知らせる歌
      • 詠み人の心を他人事と思えない凛世
      • 晶子は妻子ある与謝野鉄幹に恋をしていた
      • 道ならぬ恋をする者として共感?
      • 凛世が口にした恋の歌(恋しくて会いたいけど会えない)の意図を汲めていなかったP(居そうと思ったら居た)
      • これもPが凛世の言葉を「ちゃんと聞けてない」問題のひとつか
    • 【水色感情】「B2.人の気も知らないで(Inst)」の蝶を逃がす空には満月が輝いていた
      • 「蝶は月を頼りに飛ぶ」「凛世も同じような心持ち」「プロデューサーのお導きがあればこそ」(「――驚いてるかな、 この蝶」選択肢)
      • ここでは凛世にとって月はPの存在と結びついている
    • 月のモチーフなんてのはいろんなコミュで何度も擦られてるので、特定のコミュの文脈を引用したりとかじゃなさそうという予感はする
      • けど敢えて言うなら【水色感情】の「B2.人の気も知らないで(Inst)」とのつながりを感じたいところ
      • 理由
        • 凛世が虫に自らの想いを仮託するコミュであるため
        • 「月があたらしい」は「恋はみずいろ」を意味するBGMがかかるコミュだが、この「B2.人の気も~」コミュにも同じBGMが響いているため
      • 解釈
        • Pという月が凛世の導く光をもたない新月であるときに、逆に凛世が蛍の光として照らし返すイメージ
        • 「B2.人の気も~」で、凛世がPという月を頼りに飛んでいると言ったことに対して、Pが「俺は時々、逆みたいに感じる時があるから」と漏らす構図を見だせる

TRUE:「われにかへる」

各場面ごとのメモ

シーン:宿の凛世の部屋。日中。

  • 宿の部屋の写真を撮る凛世
  • 部屋に「さようなら……」
    • 擬人化シリーズ

シーン:バス停

  • バスの予定時刻まであと10分
  • 忘れ物を確認
    • 土産の袋の話でふたりとも笑う
  • 風鈴の音
    • バス待ちと風鈴といえば【微熱風鈴】
    • 微熱風鈴のコミュ内容を参照している?
    • 微熱風鈴コミュ内容については記事末尾に付録の「【微熱風鈴】コミュについてのメモ」に詳細を記載
    • 【われにかへれ】に【微熱風鈴】がどう響いているか
      • 帰りのバスを待ちながら、一緒に居られる時間が残り少ないことを惜しむ凛世の姿が重ねられている
      • 【われにかへれ】でやっと少しずつ変わり始めたPと凛世の関係性が、【微熱風鈴】で語られた、長い時間をかけてゆっくりと変化する風鈴のガラスのイメージと重ねられている
      • 「とことはに」で風鈴の音はPの眠り/目覚めと連動するように鳴っていたことから、凛世に目覚めよと促すように風鈴が鳴っている
  • 時間を大事に過ごしたいが、大事に過ごすにはどうすればいいか考えることに時間を消費してしまう凛世
  • 「――よし、じゃあ 考えるのはやめだ!」
  • 「見よう、凛世 時間いっぱい」「な? いつでも思い出せるようにさ ――――ほら、宿の屋根が見えてる!」
    • 見ることによって思い出を作ろうとするP
    • 凛世は写真で思い出を残そうとしていた
    • 思い出の作り方の作法が二人で異なっていたのではないか
    • そういえば「月があたらしい」では、『夏の一枚』にふさわしそうな光景があったにもかかわらず、Pは一枚も写真を撮っていなかった
    • Pは仕事以外では写真を撮らないたち?
  • 「覚えて……帰ります…… たくさんのこと……」
  • バスが近づく
  • 凛世はバス停に戻ろうとして、振り返って夏雲の写真を撮る
    • ここ足音だけで表現されてるの上手い
  • 「―――― 夏雲も……」「覚えていて……くれましょうか……」「この時のこと……」
    • 夏雲を擬人化している?
    • 擬人化といえば【凛世花伝】の「こひめ -kohime-」での「桜………… 桜……」「凛世を…… 慰めて……くれるのですか……」
    • Pを誘えなかったことを悔いてひとりで社の桜を見る凛世が、ひときわ華やかに花びらを散らせた桜を見て言った台詞
    • 華やかに散らせたとは記されていないが、凛世の頭に桜の花びらが乗っていたこと、Pの「もう散り始めるのもいるんだな」という台詞からさかのぼって情景が想像できるように書かれていると解釈している
    • 凛世は擬人的な言い回しをしがちな傾向がありそう(要調査)
    • 「未来の自分は、夏雲の写真を見てこの旅のことをちゃんと思い出せるだろうか」という意味に取れなくもない?
    • 自分が夏雲を介して思い出すことを、「夏雲が覚えている」と表現しているという解釈
    • 「夏雲だけを覚えてゐる」と対となるような台詞
    • 夏雲だけを覚えていても、夏雲がこの旅のことを全部覚えていてくれたらそれで大丈夫、ということだろうか
  • バスの発車音
  • 暗転。風鈴の音
  • コミュの要点
    • 旅の終わりを描くコミュ
    • 旅の終わり=われにかへる
    • 「撮る」ことから「見る」ことへの変化
      • 思い出を見ることによって残そうとするP
      • 撮って残そうとする凛世
    • 風鈴の音が終わりの合図となっている
      • 【微熱風鈴】への参照

総合的なメモ

雑感

  • これまでの凛世のコミュの集大成的な内容と感じた
  • 凛世のコミュに「Pが凛世を聞くこと」に関する問題系が連綿と書かれてきていたことに、このカードを通じて気付かされた
  • GRADを踏まえ、凛世が自身の「欲」を自覚的に出すようになってゆく変化が描かれている点に満足感があった
  • そういえば凛世のプロデュースアイドルのコミュって撮影の仕事が多い気がするけど他のアイドルってどうだったかな
  • 「むらさき」の舌や、「月があたらしい」の蛍を用いた慕情の示し方はかなり官能的で、今まで見たコミュの中で一番エロスを感じるカードだった
  • ところどころ腑に落ちきらない、このシーンにはどういう意味があったのだろう……と思い続けてしまうところもあり、読み終えてすっきりするというコミュではなかったが、ところどころの技巧に冴えわたるところがあり、気持ちよく感情を揺さぶられる美しい作品だった

疑問がのこっている箇所

  • 「こもれ 日」というコミュ名の意味
  • 凛世が夏雲に対してどのような観念を抱いているのか、もうすこし深く知りたい

今後の課題

  • 凛世の擬人的な表現がよくやるものなのかどうか検討したい
  • 凛世のコミュが「夢/うつつ」という対称軸に関して連続するテーマを持っている可能性を検討したい
  • 凛世に限った話じゃないけれども、カードコミュの解釈を進めていくときに参照すべき資料の範囲、いわゆる「聖典」をどこまでにするかというのは考えていかなくてはいけないかなと思っている
  • 個人的な感覚だと、CDのドラマパート、リアルライブの朗読劇、こないだのサマーキャンペーンのページに書かれていたキャラクターの台詞とかのあたりがぎりぎり入らないように境界線を引くことになりそうかなと思っている
    • 今回はイベントコミュやサポートのコミュを参照していないのでそれ以前の話

あとがき

  • ブログに書くためのメモとしてあれこれ書き出してみたんですが、どうまとめたものかと思ううちに塩漬けになりそうだったので、ひとまずメモのまま公開してみることとしました。
  • この解釈わかる~とか、いやその解釈はこうじゃないか、などなど意見感想コメントなどお気軽にお送りください。匿名でも送れます
  • https://odaibako.net/u/suekichi

付録 【微熱風鈴】コミュについてのメモ

コミュ1「とことはに」

  • 風鈴の音で目覚めるP
  • 凛世が欲しがった風鈴をPが買い事務所へとりつけている
  • 凛世がガラスが実は液体で流れ続けている、という話をする
  • ゆっくりと流れるガラスを二人で見ていようとなる
  • ガラスとは違い、変わらぬものもある
  • 凛世の「久遠の愛」、桔梗の花言葉
  • 風鈴の音を聴きながら眠りにつくP
  • 回想。風鈴購入時、所望した風鈴の柄が桔梗であることをそれとなくPへアピールしていた凛世

コミュ2「みをつくし」

  • ロケで砂浜を訪れたPと凛世
  • 車に乗り込んだあと、忘れ物を確認
  • 海を見る凛世を見て、海が気になってると解釈するP
    • TRUE「出来心」を踏まえると、仕事を終えてPと離れることについての思いがあったと察せられる
  • 砂浜へ出て裸足で歩く

◆選択肢・左(流木)

  • 砂浜に流木で描く
  • P、「283」「社長の似顔絵」を描く
  • 凛世、「相合い傘」を描く
    • Pは仕事、凛世は自身の恋愛を描いている
  • 波で足元を濡らしてしまう凛世
    • タイトル「みをつくし」と掛詞となる「澪標」は水場に立てられる標識
    • 水に浸かった凛世が澪標のイメージと重ねられている
  • 「このように……お隣を……歩けるのですから……」
    • 波の音で聞こえなかったP
    • ちゃんと聞けてない問題

◆選択肢・中央(ビーチグラス

  • ガラスが時間をかけて変化したもの
  • Pは凛世にビーチグラスを持って帰るよう促す
  • お土産として喜んで受け取る凛世

◆選択肢・右(タコノマクラ

  • Pが投げると海面で跳ねながら飛ぶ
  • 4回跳ねたら……と願掛けをしようとするP
  • Pは『帰り道が混雑しませんように』
  • 凛世は4回跳ねたら告白すると決める
  • P「願掛けとは違うんだな」
  • 3度しか跳ねない
  • 帰り道が混むことを気にするP
  • 「凛世はかまいません」
  • 長く一緒に居られることを歓迎?
  • 「誰かに何か伝え損ねることになっちゃうんじゃないか?」
  • 「まだ、よいのです」

TRUE「出来心」

  • 山の中での仕事帰りにバスを待つ2人
  • 凛世が気持ちよさそうに寝ていたので起こさずバスを1本見送るP
  • 凛世が起きたあと、次はPが眠ってしまう
  • 次の最終バスを見送り、ずっとこのままで居たいと考える凛世
  • 凛世は葛藤の後、Pを起こす
  • 私欲のためにPを起こさないでおこうという「出来心」

アイドルマスター シャイニーカラーズ イラストレーション ワークス VOL.1

アイドルマスター シャイニーカラーズ イラストレーション ワークス VOL.1

  • 発売日: 2020/10/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

デカルコマニーとしての『リズと青い鳥』と『響け!ユーフォニアム2』(1)

リズと青い鳥』は『響け!ユーフォニアム2』に続く物語である。また、『リズと青い鳥』は「写し取ること」を繰り返し描いた物語である。そして、『リズと青い鳥』は『響け!ユーフォニアム2』を写し取った物語である。

 

「リズ」冒頭で、ありがとう?と疑問形で述べる鎧塚みぞれに対し、傘木希美はどういたしましてとスカートの端を摘み上げる仕草を見せる。この所作は、「ユーフォ2」最終話で、副部長となった中川夏紀が新部長の吉川優子に対してスカートを慇懃無礼につまみ上げてお辞儀してみせた仕草の引き写しと捉えられる。この参照により、「リズ」が「ユーフォ2」と繋がる作品であることを示しつつ、以後作中で幾度も繰り返される、他人の振る舞いを写し取るという営みが導入されているのである。

 

「リズ」は「ユーフォ2」の諸要素を写し取っている――この視点でもって、ラストシーンに現れる「かき氷」について解釈をあたえていく。

 

「リズ」のエンディング直前、校門を希美とともに出たみぞれは「かき氷」を食べたがる。このシーンについて監督の山田尚子は、インタビューで次のように語っている。

――ハッピーアイスクリームがキーワードになってますね。

「みぞれはかき氷を食べたいと、あのシーンはいろんなものを象徴しています。本当にスーパーミクロな詰将棋のような現場でした(笑)」

(「spoon.」2018年6月号 p52)

みぞれがかき氷を所望するシーンが「いろんなものを象徴」しているとはどういうことか。

「みぞれ」とはかき氷の味のバリエーションのひとつであり、「みぞれ」が「かき氷」を選択したということから、みぞれに芽生えた自己愛のイメージを読み出すことが可能だろう。みぞれによる意志決定自体が「希美の決めたことが私の決めたこと」からの逸脱であり、みぞれの変化を端的に示すことがらである。

また、このシーンではみぞれが望むものがかき氷であるにもかかわらず、みぞれによる「ハッピーアイスクリーム!」の発話により、希美にアイスを食べたがっていると誤解されてしまう。このことから、希美とみぞれの二人が宿命的にずれていってしまうことを示すアイテムとして機能してもいる。

これらのみでも十分に意味を取り出せているようにも思えるが、先に指摘した「ユーフォ2」への参照という見地から、「ユーフォ2」第一話において、「かき氷」というモチーフが非常に重要な役割を果たしていたことが指摘できる。

 

花火大会会場近くの橋のたもとにて、黄前久美子は片手にかき氷の容器を持ち、もう片手で高坂麗奈の手を握りながら「源氏ロマン 光源氏は永遠に」と題された花火に見入る。そして次のようなモノローグを語る。

この時間は永遠ではない。大好きな友達ともいつか離れ離れになって、どんなに願っても全てはまたたく間に過去になっていく。今というこの瞬間を容器に詰め込んで冷凍保存できればいいのに。そうすれば、こわがることなんてなにもないのに。

花火の題とモノローグから、このシーンのテーマが永遠への願いと、それがけして満たされないことが示されている。モノローグが語り終えられたあと、久美子は溶けてしまった、かき氷だったものをストローで啜る。この行為は、「冷凍保存できればいいのに」という反実仮想のイメージと響き合う。溶けゆくかき氷は「冷凍保存」の不可能性、すなわち、時間はとめどなく流れ、何もかもが変わってゆくということの象徴である。

花火という瞬間の芸術に永遠への願いがこめられていることと、溶けゆくかき氷を持ちながら冷凍保存について考えることが、ここではパラレルに配置されているわけであるが、吹奏楽部員である彼女たちにとっては、ずっと一緒に居たい人とともにコンクールで一瞬の合奏に取り組むことも、花火やかき氷とパラレルな事象であるはずである。「コンクールなんて来なくていい」とは、みぞれにとってコンクールが希美との永遠を否定するものであったことを端的に示す台詞であったはずだ。みぞれは変化を遠ざけ否定に閉じこもり、窓を閉ざしていた。

そんなみぞれが、「コンクール、頑張ろう」と前向きに口にするという変化をみせる。永遠を望みながらも終わりに向かって羽ばたきはじめたみぞれが所望する食べ物として、永遠への反実仮想の祈りがこめられた「かき氷」以上にふさわしいものは、存在しないのではないだろうか。そう私は考えている。

 

続く(2)では「みぞれのオーボエが好き」周辺のシーンについて、ユーフォ2第四話との対照を軸に解釈していく予定である。